オルソケラトロジー

オルソケラトロジー

「日中は、メガネやコンタクトレンズなしで、裸眼で快適に過ごしたい」
「スポーツをするのに、メガネやコンタクトが邪魔になる」
「お子さんの近視がどんどん進んでいて、何か対策をしてあげたい」

このようなお悩みやご希望をお持ちの方に、新しい視力矯正の選択肢として注目されているのが「オルソケラトロジー」です。オルソケラトロジーは、夜寝ている間に特殊なコンタクトレンズを装用することで、日中の視力を回復させる画期的な近視矯正法です。

日中の快適さだけでなく、近年ではお子さんの近視の進行を抑制する効果があることでも、世界的に評価が高まっています。

この記事では、オルソケラトロジーに興味をお持ちの患者さんや、お子さんの近視にお悩みの保護者の方に向けて、眼科専門医の立場から以下の内容を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。

  • オルソケラトロジーで、寝ている間に視力が回復する仕組み
  • 日中裸眼で過ごせるメリットと、お子さんの近視進行抑制効果
  • 当院で行う、治療開始からアフターケアまでの詳しい流れ
  • 治療の適応となる方、費用、そして安全性について
目次

オルソケラトロジーとは

オルソケラトロジーは一般的なコンタクトレンズとは異なり、特殊なコンタクトレンズを就寝時に装用することで角膜の形状を矯正させ、視力を改善する効果があり、日中はレンズを外していても裸眼で良好な視力を維持できます。

酸素透過性が高いレンズで、長年の研究によりレンズの安全性が確認されています。アメリカ、ヨーロッパ・アジアなど多くの国で認められている治療で、日本では2009年に厚生労働省より認可されました。

近年、オルソケラトロジーによる近視抑制効果が学会などで報告されています。また、近視の低年齢化が問題となっているため、小学生の患者さんの需要が増えています。

大阪市鶴見区の大阪鶴見まつやま眼科では、オルソケラトロジーの豊富な処方実績を有するほか、小児眼科を得意とする視能訓練士が在籍しており、お子さんへの対応も万全です。

オルソケラトロジーの2つの大きなメリット

オルソケラトロジーには、単なる視力矯正にとどまらない、2つの大きなメリットがあります。

1. 日中を裸眼で過ごせる快適さと解放感

日中にメガネやコンタクトレンズが不要になることで、様々なメリットが生まれます。

  • スポーツを思いきり楽しめる:野球やサッカー、水泳、格闘技など、メガネやコンタクトが不便だったり危険だったりするスポーツも、裸眼で安全に楽しめます。
  • 職業上のメリット:ほこりの多い環境で働く方、消防士や警察官など、緊急時にメガネをかけていられない職業の方にも適しています。
  • ドライアイの軽減:日中にコンタクトレンズを着けないため、レンズの乾燥による目のゴロゴロ感や不快感から解放されます。
  • 花粉症の季節も快適:花粉がレンズに付着する不快感がなく、アレルギー性結膜炎の点眼治療も問題なく行えます。
  • 紛失・破損のリスク軽減:日中の活動中に、レンズを無くしたり、メガネを壊したりする心配がありません。

2. お子さんの近視進行を抑制する効果

近年、オルソケラトロジーの最も注目されている効果が、お子さんの近視の進行を抑制する働きです。子供の近視は、主に眼球の奥行き(眼軸長)が伸びることで進行します。オルソケラトロジーレンズは、中心の視力を矯正すると同時に、周辺部の光のピントを網膜の手前に合わせる特殊な光学的作用を生み出します。この「周辺部網膜の前方デフォーカス」が、眼軸の伸びを抑制する信号となり、近視の進行を遅らせると考えられています。

数多くの研究によりその効果は証明されており、オルソケラトロジーを装用した子供は、メガネを装用した子供に比べて、眼軸の伸びを約40〜50%抑制できたと報告されています。近視は、将来の目の病気(緑内障や網膜剥離など)のリスクを高めるため、お子さんのうちから進行を抑制してあげることは、将来の目の健康を守る上で非常に重要です。

視力が回復する仕組み

オルソケラトロジーで視力が回復する仕組み

近視は、角膜や水晶体で光が強く屈折しすぎ、網膜の手前でピントが合ってしまう状態です。
オルソケラトロジーレンズは、内側に特殊なカーブがデザインされており、就寝中に角膜の中央部を平坦化させるように、涙の力を介して穏やかに圧平します。
角膜のカーブが平らになることで、光の屈折力が弱まり、網膜上で正しくピントが合うようになります。

この効果は一時的なもので、レンズの装用を中止すれば、角膜の形状は数週間かけて元の状態に戻ります。
レーシックのように元に戻せない手術とは異なり、可逆性があるという点も、オルソケラトロジーの大きな特長です。

近視進行抑制薬との併用でより高い効果

近視進行を抑制させる効果のあるアトロピンを配合させた点眼薬(マイオピン・リジュセア点眼)は、シンガポール国立眼科センターの研究に基づいて開発されました。
オルソケラトロジーとマイオピン・リジュセア点眼を併用することで、オルソケラトロジー単独よりも近視抑制効果が約5割増しの期待ができます。
(日本近視学会 日本小児眼科学会 日本視能訓練士協会 編集『小児の近視』より)

オルソケラトロジー治療に向いている方・不向きな方

  • メガネやコンタクトに頼らず、裸眼で日中過ごしたい方
  • 近視度数が中等度以下の方
  • レーシックなどの手術を避けたい方
  • ドライアイなどでコンタクトを快適に使用できない方
  • 激しいスポーツをする方
  • 成長期のお子さまの近視進行を防ぎたい方
  • 妊娠中・授乳中、または妊娠の可能性がある方
  • レーシックなどの屈折矯正手術を受けたことのある方
  • 重度なドライアイの方
  • 定期検査に通えない方
  • レンズのケアが出来ない方

当院のオルソケラトロジー

院長がnewsランナーに出演し、オルソケラトロジーについてコメントしました
院長がnewsランナーに出演 オルソケラトロジーについてコメントしました

当院のオルソケラトロジー定額制プラン

寝ている間に装着することで近視を矯正し、日中を快適に過ごすことのできる「オルソケラトロジー」ですが、現在のところ保険適用はなく、自費診療となります。
当院では、患者さんに少ない費用のご負担でお気軽にオルソケラトロジー治療をスタートしていただけるよう、定額制プランを導入しております。
定額制プランでは、度数変更のための交換、レンズの破損による交換は無料で承ります。(回数規定があります)
紛失の際にも、少ないご負担で新しいレンズをご提供します。

当院の使用しているオルソケラトロジーレンズ

当院ではシード「ブレスオーコレクト」のオルソケラトロジー用レンズを取り扱っております。
日本人の眼に合わせた独自の設計、しなやかで割れにくいオルソケラトロジー用レンズです。
酸素透過率の高い東レ素材を採用した、設計から素材・生産まで唯一の純国産レンズです。

注意事項

  • 適応検査前に、お使いのコンタクトレンズの装用を中止する必要があります(ソフトコンタクトレンズ:3日間)
  • 老眼は矯正できません
  • 強度乱視や不正乱視は矯正できない場合があります
  • 睡眠時間が短いと矯正する力が弱まります(6時間以下)

オルソケラトロジー治療の流れ

当院では、患者さんに安心して治療を始めていただけるよう、丁寧なカウンセリングと精密な検査体制を整えています。

STEP
治療前検査

お一人おひとり丁寧に検査・説明を行っているため、オルソケラトロジーの治療は完全予約制となります。
オルソケラトロジーをご希望される場合、まずは「一般診療」でご予約をお願いいたします。
診察・検査を行い、オルソケラトロジー治療の説明を行います。その後、オルソケラトロジーの適応検査・装用練習のご予約をお取りします。

STEP
適応検査・装用練習

適応検査では視力や角膜形状解析などを行い、患者さんひとりひとりに合ったレンズの選択を行います。
乱視の強さや、角膜形状が特殊な患者さんにはオルソケラトロジーの効果が期待できない場合があります。
適応検査をしっかりと行うことにより、適応可否を判断いたします。
実際にレンズを装用していただき、フィッティングチェックを行います。
コンタクトレンズを初めて使用される患者さんも多いため、初めての方にはしっかりと装着・脱着の練習を指導させていただいております。
着け外しがスムーズにできない場合は、練習のために再度ご来院いただく場合があります。

STEP
約1週間 トライアルレンズのお試し装用

見え方、ご使用方法に問題がないか、目に異常がないか、診察・検査を行います。
診察・検査で問題がなければ、定額制プランの契約を行い、患者さん専用のレンズを注文します。

STEP
定期診察・検査

治療開始後は、安全に、そして効果的に治療を継続するために、定期的な検査が不可欠です。
1か月後、2か月後、以降3~4か月に一度のペースでご来院いただき、視力の状態、角膜の健康状態、レンズの汚れや傷の有無などをチェックします。

オルソケラトロジーの費用

オルソケラトロジー治療は、健康保険適応外の自由診療となります。費用は全額自己負担です。
当院では、患者さんに少ない費用のご負担でお気軽にオルソケラトロジー治療をスタートしていただけるよう、定額制プランを導入しております。
定額制プランでは、度数変更のための交換、レンズの破損による交換は無料で承ります。(回数規定があります)
紛失の際にも、少ないご負担で新しいレンズをご提供します。

費用

スクロールできます
初期費用月額利用料度数・破損
交換保証
紛失・保証外
レンズご負担金
片眼
プラン
33,000 円4,400 円無 料
片眼:1年に1枚まで
両眼:1年に2枚まで
1枚目 22,000 円
2枚目以降 33,000 円
両眼
プラン
7,700 円
記載金額は全て税込です
  • 初期費用には、1年目の年間管理費、初回ケア用品代を含みます。
  • 月の途中での契約、解約における月額利用料は1か月分とし、日割りでの計算はいたしません。
  • 度数調整や破損による交換保証において、規定回数を超えての交換は1枚22,000円となります。破損による交換保証は、レンズの半分以上のご提示が条件となります。

月額利用料・年間管理費のお支払い方法

月額利用料・年間管理費は、ご登録のクレジットカードへご請求いたします。

その他の費用

  • 適応検査 5,500円(ご予約時にお支払いいただきます)
    視力や角膜形状解析などを行い、患者さんひとりひとりに合ったレンズの選択を行います。実際にレンズを装用していただき、フィッティングチェックを行います。
  • 2年目以降の年間管理費 22,000円/年
    1年に4回の定期診察・検査代を含みます。
    ※ 定期診察・検査以外の診療が必要になった場合は、別途費用がかかります。
  • ケア用品代
    オルソケラトロジー専用製品を当院で販売しております。

治療に関して

  • 本治療は保険対象外、自由診療となります。
  • 本治療は医療費控除申請が可能です。領収書は大切に保管してください。
  • 本治療中、医師により眼科的治療が必要と判断した場合、別途費用がかかります。

まとめ:新しい視力矯正で、より快適な毎日を

オルソケラトロジーは、「日中の裸眼生活」という快適さと、「お子さんの近視進行抑制」という将来の目の健康への投資、この2つを同時に実現できる画期的な治療法です。

【この記事のポイント】

  • オルソケラトロジーは、夜寝ている間に視力を矯正し、日中は裸眼で過ごせる治療法。
  • スポーツをする方や、日中のコンタクトが不快な方に最適。
  • お子さんの近視の進行を抑制する、科学的根拠のある効果が期待できる。
  • 治療には、専門医による精密な検査と、定期的な経過観察が不可欠。

「私の目でもできるだろうか?」「子供の近視、何とかしてあげたい」そうお考えでしたら、まずは適応検査を受けてみませんか?
当院では、一人ひとりの目の状態とライフスタイルに真摯に向き合い、最適な治療法をご提案いたします。
どうぞお気軽にご相談ください。

オルソケラトロジー よくあるご質問(Q&A)

オルソケラトロジーは、寝ている間に視力を矯正する、手術のいらない新しい近視治療法です。日中を裸眼で快適に過ごせるだけでなく、お子さんの近視進行を抑制する効果も期待できるため、近年非常に注目されています。
ここでは、患者さんからよくいただくご質問とその回答をまとめました。

オルソケラトロジーとは、どのような治療法ですか?

オルソケラトロジーとは、夜寝ている間に特殊なデザインが施されたハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を優しく矯正することで、近視や乱視を一時的に矯正する治療法です。レンズによって就寝中に角膜のカーブが緩やかに変化するため、朝起きてレンズを外した後も、日中は裸眼のままでクリアな視界を維持できます。

手術ではないため、眼を傷つけることはありません。もし治療が合わないと感じた場合でも、レンズの装用を中止すれば、角膜の形状は数週間で元の状態に戻ります。日中の活動的な時間を、メガネやコンタクトレンズの煩わしさから解放されたい方、特にスポーツをされる方などに適した、安全で可逆的な近視治療の選択肢です。

オルソケラトロジーは子どもでも治療を受けられますか?オルソケラトロジーは何歳から始められますか?

はい、オルソケラトロジーはお子さんにこそ適した治療法の一つです。一般的に、ご自身でレンズの取り扱いが可能になる小学校低学年~中学年から治療を開始できます。もちろん、最初のうちは親御さんのサポートが不可欠です。

お子さんにとって最大のメリットは、日中を裸眼で過ごせることに加え、「近視の進行を抑制する効果」が国内外の研究で報告されている点です。近視は、眼の長さ(眼軸長)が伸びることで進行しますが、オルソケラトロジーにはこの眼軸長の伸びを抑制する効果が期待されています。成長期のお子さんの将来の眼の健康を守るための、積極的な治療として選択される方が増えています。

オルソケラトロジーの安全性は問題ありませんか?副作用が心配です。

オルソケラトロジーは、適切な検査のもと、眼科医の指示に従って正しくレンズを取り扱えば、非常に安全性の高い治療法です。ただし、通常のコンタクトレンズと同様に、レンズの洗浄や消毒が不十分だと、角膜に傷がついたり、感染症を起こしたりするリスクがあります。最も重要なのは、毎日のレンズケアを徹底し、清潔に保つことです。

副作用としては、治療開始直後に、夜間に光がにじんで見えるハロー・グレア現象を感じることがありますが、多くは慣れていくうちに気にならなくなります。当院では、治療開始前に必ずレンズの装用・着脱の練習や、詳しいお手入れ方法の指導を丁寧に行います。また、治療中も定期的な検診で眼の状態をしっかり確認し、安全に治療を継続できるようサポートしますので、ご安心ください。

オルソケラトロジーはの費用はどのくらいかかりますか?保険は適用されますか?

オルソケラトロジー治療は、健康保険が適用されない「自由診療」となります。そのため、費用は全額自己負担となります。費用はクリニックによって異なりますが、一般的には、初年度にレンズ代や初期の検査・指導料などが必要となります。2年目以降は定期検診代と、レンズの寿命に応じた交換費用(通常2~3年ごと)が必要となります。

決して安い金額ではありませんが、日中の使い捨てコンタクトレンズを長年使用し続けるコストと比較検討される方もいらっしゃいます。なお、オルソケラトロジーの治療費は、確定申告の際に「医療費控除」の対象となります。詳しい費用については、カウンセリングの際に明確にご提示いたしますので、お気軽にご質問ください。

乱視があってもオルソケラトロジーはできますか?オルソケラトロジーの効果はいつから実感できますか?

はい、ある程度の強さまでの乱視であれば、オルソケラトロジーで近視と同時に矯正することが可能です。ただし、角膜の形状によって矯正できる乱視の度数には限界があります。治療が可能かどうかは、事前の精密な検査で角膜の形状を詳しく解析し、シミュレーションを行った上で、医師が総合的に判断します。

効果の実感には個人差がありますが、多くの場合、レンズを装用した翌朝から視力の改善を体感いただけます。ただし、治療開始直後は、夕方になると少し視力が落ちてくることもあります。毎日装用を続けることで徐々に効果が安定し、1~2週間程度で日中を通して安定したクリアな視力が得られるようになります。

オルソケラトロジーはを途中でやめることはできますか?やめたらどうなりますか?

はい、いつでもご自身の判断で治療を中断・終了することができます。オルソケラトロジーは、角膜の形状を「一時的に」変化させる治療法です。そのため、レンズの装用をやめると、矯正されていた角膜は数日から数週間かけて、ゆっくりと元の形状に戻っていきます。それに伴い、視力も治療を始める前の近視の状態に戻ります。

眼に永続的な変化を加えるわけではないため、「将来もし他の治療法を選びたくなったら」「進学や就職のタイミングで見直したい」といった場合でも、柔軟に対応できるのがこの治療の利点です。手術に抵抗がある方や、まだ度数が安定しない成長期のお子さんにとって、安心して始められる治療法と言えます。

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