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2025.07.22

高齢者の白内障手術にリスクはある?白内障放置で起こるリスクも紹介

高齢者の白内障手術にリスクはある?白内障放置で起こるリスクも紹介

白内障は加齢が原因で発症することから、高齢者にとって身近な病気です。

視界がかすんだり、まぶしく感じたりと、日常生活に少しずつ支障が出てくる白内障は、進行すると視力が大きく低下し、転倒や事故の原因になることもあります。

日常生活に支障が及ぶと判断された場合には手術を勧められる場合が多いですが、「高齢だから手術は不安」「身体に負担がかかるのでは?」と心配する方も少なくありません。

この記事では、高齢者が白内障手術を受ける際に考えられるリスクやメリット・デメリット、手術を受けずに放置した場合に起こり得る危険性について解説します。

白内障は加齢によって発症率が高まる病気

白内障は加齢によって発症率が高まる病気

白内障は、目の中でカメラのレンズの役割をもつ水晶体が濁ることにより見え方に影響が出る病気です。

主な原因は加齢で、早ければ40代から自覚症状が認められ、80代ではほとんどの方が症状を自覚するとされています。

白内障は下記のような症状が一般的です。

  • 物がぼやける、かすんで見える
  • 人や物が二重に見える
  • 光がまぶしく見える
  • 目が疲れやすい
  • 視力が低下する

加齢による白内障は初期症状がほとんどなく、ゆっくり進行していくため症状が出ても気づきにくい病気です。

早期発見のために40代を過ぎたら自覚症状がなくても眼科で定期検診を受けることをおすすめします。

高齢者の白内障手術を受けるときのリスク

高齢者の白内障手術を受けるときのリスク

白内障は、手術によって改善が期待できます。

一般的な手術は超音波によって濁った水晶体を破砕して取り出し、眼内レンズを挿入する方法で、手術自体は10~20分程度で終わります。

短い手術で麻酔も点眼で行う場合が多く、身体に負担の少ない手術ですが、どんな手術でもリスクは存在します。

特に高齢者は以下のような原因でリスクが高まるため注意が必要です。

全身疾患の影響 高血圧・糖尿病などの持病があると手術中や術後の全身状態が不安定になる可能性がある
目の組織の脆弱化 加齢により水晶体を支えるチン小帯や角膜の細胞が弱り、手術中に損傷を受けやすい
認知機能の低下 手術の説明を理解しにくい、術後の点眼や通院の自己管理が難しい
薬の服用 服用している薬によっては、手術に使用する薬剤との相互作用やリスクを高める可能性がある
免疫力の低下 感染症に対する抵抗力が弱く、眼内炎などの感染症を発症する可能性が高まる
術後の回復が遅い 傷の治癒や炎症の回復に時間がかかる場合がある
転倒リスクの増加 術後一時的に見え方が変わることでバランス感覚が乱れ転倒しやすくなる

このようなリスクを知っておくことで、不安の解消・適切な術後のケア・定期的な受診につながります。

手術前には、医師から詳しい説明を受け、リスクについて十分理解してから手術を受けることが大切です。

健康状態によるリスク

高齢になると持病をもつ方の割合も増えるためリスクが高まる可能性や、持病によって治療に制限が出るケースもあります。

黄斑変性や緑内障などの他の目の病気を併発している方は、手術の難易度が高くなる場合があるため、さまざまな症例に対応可能な眼科医への相談が大切です。

特に、糖尿病を患っている方は手術を受ける場合に合併症のリスクが高まります

糖尿病が重度の場合、免疫力の低下により感染症にかかりやすく、術後の傷口の治癒が遅れる可能性があります。

手術前の血糖値のコントロールと、術後の感染予防の徹底が必須です。

また、血糖値が高い状態で手術を行うことで糖尿病網膜症が進行する可能性もあるため、手術が行えるかどうかの評価や術後の経過観察をしっかり行うことが重要です。

合併症のリスク

高齢で白内障手術を受ける際には、加齢により体力や免疫力が低下している、目の組織が弱くなっている、持病があるなどの理由により合併症のリスクが高まります。

白内障手術の代表的な合併症は以下の通りです。

時期 リスク・合併症名 内容・症状
手術前
(手術に影響を及ぼす症状)
角膜内皮障害 術後に視力低下や痛みが出る可能性がある
角膜の混濁 透明度が低下し、手術後も見えにくさが残る場合がある
糖尿病網膜症 術後に一時的な視力低下が起こる場合がある
網膜剥離 網膜が剥がれ失明の可能性がある
緑内障 視野が欠ける病気で手術後も症状が改善されない場合がある
手術中 後嚢破損 水晶体を包む袋が破れ、眼内レンズの固定が難しくなる
チン小帯断裂 水晶体を支える繊維が切れ、手術が難航する場合や別の治療法が必要になる
術中虹彩緊張低下症候群 虹彩が柔らかくなる手術操作が難しくなる
駆逐性出血 術中に大量出血が起き、失明に至る可能性がある
手術後 眼圧上昇 吐き気や頭痛の原因となる場合があり、治療が必要
感染症 切開部から細菌が入り炎症を起こす
術後眼内炎 重度の細菌感染による炎症で失明の可能性がある
後発白内障 手術後に視力低下や視界のぼやけが生じる
嚢胞様黄斑浮腫 網膜中心部が腫れて視力が低下する
角膜内皮細胞減少 角膜が晴れて白く濁り、視力が落ちることがある
眼内レンズの脱臼・傾き 目の組織の劣化によりレンズがずれたり傾く

白内障手術には上記のようなリスクや合併症が存在しますが、信頼できる医師の指示をしっかりと守ることでリスクが軽減できます。

高齢の患者さんだけでは不安を感じるときは、身内の方のサポートが必要な場面もあるかもしれません。

付き添いやサポートを頼めるかを手術前に確認しておきましょう。

高齢者が白内障を放置するリスク

高齢者が白内障を放置するリスク

白内障を放置することにより、症状が進行し日常生活に支障を及ぼす可能性があります。

白内障を放置することで緑内障のリスクが高まり、結果的に失明する危険性が生じる場合があります。

また、高齢者では手術の難易度が高くなることや全身状態の悪化により手術を受けにくくなる可能性があります。

手術難易度が高くなる

白内障が進行すると、手術の難易度が高くなります。

特に注意が必要なものとして以下の症状が挙げられます。

  • 核硬化:水晶体の中心が固くなり取り出しにくくなる
  • 膨潤白内障:水晶体に水が溜まり膨らんで白く濁る。切開作業が困難になる
  • ミルキー白内障:水晶体の中が白く溶けた状態
  • モルガニー白内障:水晶体が液状になり核が自由に動く。固定できないため超音波で砕く作業が困難になる
  • 前嚢下線維性混濁:水晶体表面の膜が厚く濁り切開が難しくなる

進行した白内障は放置すると手術がより難しくなり、感染・合併症のリスクが高まる可能性があります。

適切な時期に手術を行うことでリスクを軽減できるため、早めに眼科で相談を行いましょう。

全身状態の悪化により手術を受けにくくなる可能性がある

白内障を放置しているうちに、全身状態が悪化して手術が受けにくくなる場合もあります。

特に手術が受けにくいのは以下のような状態です。

  • 脊椎の疾患などであおむけの維持が難しい場合
  • 神経系の疾患で身体や眼球の静止状態が保ちにくい場合
  • 認知症などで意思疎通が難しい場合

このような場合には、全身麻酔が必要となりますが、心疾患などを患っていると全身麻酔が打てず手術ができないケースもあります。

他にも寝たきりになってしまった、指が不自由で点眼できないなどさまざまなリスクが考えられるため、白内障手術を先延ばしせず適切な時期に行うことが大切です。

高齢者が白内障の手術を受けるタイミングは?

高齢者が白内障の手術を受けるタイミングは?

白内障手術のタイミングは患者さんの状態によって異なります。

一般的には、日常生活で見えにくさを感じたり、視力低下を眼科で判定された時が検討のタイミングです。

視力低下は白内障以外の病気でも起こるため、定期的に眼科で診察を受け、手術の時期を医師と一緒に検討することが必要です。

高齢者が白内障手術を受けるメリット

高齢者が白内障手術を受けるメリット

高齢の方が白内障手術を受けるメリットは、以下の通りです。

メリット 内容
視力回復 コントラストや色覚の改善も期待できるためクリアで色鮮やかな視界になりやすい
転倒・怪我・事故のリスクが減る 視野が広くなり足元や周囲が見えやすくなるため、転倒や怪我、事故のリスクが減る
生活の質向上 車の運転や家事のしやすさ、趣味が楽しめるようになる
眼疾患の診断 白内障が改善し眼底が見えやすくなるため他の眼疾患発見につながりやすい
認知症の予防 外からの情報が脳に届きやすくなり脳の活性化につながる

高齢の方にとって白内障手術は、視力の回復だけでなく、転倒予防や認知機能の維持など、生活全体の質を高めるきっかけにもなります。

「まだ大丈夫」と思っていても、手術後に「もっと早く受ければよかった」と感じる方も少なくありません。

日常の見えづらさが気になりはじめたら、早めに眼科で相談することをおすすめします。

高齢者が白内障手術を受けるデメリット

高齢者が白内障手術を受けるデメリット

白内障手術は日帰り手術が主流で、一般的に短時間で身体の負担が少なく受けられますが、デメリットも存在します。

不安や恐怖感

「目の手術は怖い」と感じる方もいますが、白内障手術は多くの方が受けています。

術後は「よく見えるようになった」「思っていたより怖くなかった」という方も少なくありません。

不安や恐怖を感じる場合は、眼科医に十分な説明を求め、しっかりと納得がいくまで手術の内容や術後について聞くことで不安が解消しやすいです。

眼鏡が必要になるケースも

白内障手術で用いられる眼内レンズには単焦点・多焦点などの種類があり、選んだレンズによって見え方が変わります

選んだレンズが見える距離によっては、眼鏡が必要になるケースもあります。

費用

白内障手術は、超音波乳化吸引術で単焦点レンズの場合は保険診療の対象で、自己負担割合により費用が異なります。

1割負担 15,000円程度
2割負担 30,000〜40,000円程度
3割負担 45,000〜60,000円程度

上記の表は保険診療で片目の場合の費用相場です。

多焦点レンズを選んだ場合は手術費用は保険適用ですが、レンズ分の追加費用がかかります。

高齢者が安心して手術を受けるための注意点

高齢者が安心して手術を受けるための注意点

高齢の方が白内障手術を安心して受けるためには、いくつかの注意点があります。

手術を受ける前に不安を和らげる環境や事前準備のためにぜひ参考にしてください。

信頼できる医師を選ぶ

白内障手術は多くの眼科医で行われている手術ですが、医師選びは以下の点をチェックしましょう。

  • 白内障手術の経験・症例が豊富かどうか
  • 疑問点解消などカウンセリングがきちんと行われているか
  • 不安な気持ちを受け入れ相談に乗ってくれるか
  • 院内は清潔か
  • 眼内レンズの種類は選べるか

白内障手術は、手術のタイミングや術後の見え方の希望は個人差があるため、医師と十分に相談し、希望をしっかり伝えることが大切です。

手術後に満足のいく見え方ができるよう信頼できる医師のもと手術を行いましょう。

眼内レンズをしっかり選ぶ

眼内レンズによって、術後の見え方は変化するため、ライフスタイルに応じて選ぶことが大切です。

事前に生活の中で一番見ている距離、見たい距離を考えておき、医師と相談しながら選ぶようにしましょう。

付き添いをお願いする

白内障手術当日は眼帯をするため視野が狭くなります。

慣れない見え方で転倒や事故などにつながる可能性もあるため、家族や身内の付き添いがあると安心です。

高齢者が白内障手術を受けた後の注意点

高齢者が白内障手術を受けた後の注意点

高齢の方が白内障手術を受けた後は以下のことに注意が必要です。

  • 点眼薬の管理・定期的な通院
  • 日常生活の過ごし方

術後のトラブルを防ぐために、しっかりと注意点を守りましょう。

点眼薬の管理・定期的な通院

白内障手術後は、一般的に3種類の点眼薬が処方され、1日2~4回、1か月程度使用します。

感染や炎症、術後のむくみを防ぐために使われるので、必ず指示された通りに継続しましょう。

定期的な通院も、術後の経過観察のために大切です。

点眼薬の管理が難しい場合は、術後1か月は家族や身内の方にサポートをお願いするのもおすすめです。

日常生活の過ごし方

高齢の場合、術後の日常生活は、特に以下のことに気を付けましょう

  • 安静に過ごす:高齢者は回復に時間がかかる傾向があるため十分な休息をとる
  • 転倒に注意:一時的に見え方が変化する可能性もあり、段差などに注意する
  • 目をこすらない:無意識に触ってしまう場合もあり、注意が必要

普段行っている家事も家族に協力を仰ぐなど、無理なく過ごすようにしましょう。

まとめ

白内障手術は、年齢に関係なく受けられる身体への負担が少ない手術です。

しかし、白内障手術を先延ばしすると、さまざまなリスクが高まる可能性があります。

手術の難易度や合併症のリスクを軽減するためにも、医師と相談し適切な時期に手術を行うことが大切です。

大阪鶴見まつやま眼科』では、超音波乳化吸引術による日帰り白内障手術を行っています。

患者さん一人ひとりに寄り添い、不安や悩みを解消できるよう心がけています。

白内障の手術に関して気になることや不安なことがある方は『大阪鶴見まつやま眼科』に一度ご相談ください。

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