
オルソケラトロジーは就寝中の専用コンタクトレンズの装用で近視を矯正する治療法で、『夜コン』などと呼ばれています。
日中は裸眼でスポーツなどを楽しむことができ、子どもの近視進行を抑制する効果も期待できるなどメリットがある一方で、自由診療のため費用が気になる方は多いでしょう。
この記事では、オルソケラトロジーの費用について、相場や他の治療法との比較、費用軽減のための対策などを紹介します。
自由診療のため高額と思われがちですが、オルソケラトロジーを提供する眼科ではさまざまな形での負担軽減策を提案しています。ぜひ参考にしてください。
オルソケラトロジーの費用について
オルソケラトロジーは2009年に厚生労働省に認可された、日本においては比較的新しい治療法です。
まずはオルソケラトロジーの費用について、健康保険の適用や費用内訳、支払方法などについて紹介します。
保険が適用されない自由診療
オルソケラトロジーは健康保険の適用外のため、費用は自由診療で計算されます。
自由診療はそれぞれの医療機関の判断によって費用が自由に設定されるため、同じ治療を行っても、料金は横並びではありません。
また、保険診療と自由診療は同日に行うことができないため、オルソケラトロジーと他の目の疾患の受診を同日に行うと、その日行われた全ての診療について実費となります。
他にも、オルソケラトロジーが原因での合併症の治療についても自由診療として計算されます。
このように気をつけなければいけない点もありますが、治療についての選択肢を広げ、より患者さんのニーズに沿った治療が受けられるのが自由診療です。
費用内訳
オルソケラトロジーの費用内訳は、大きくは初期費用と維持費用に分かれます。一例は以下です。
- 初期費用
- 初診料
- 初回の適応検査料
- お試し装用費用
- 専用レンズ注文費用
- 1年目の定期検診費用
- 初回ケア用品料
- 維持費(2年目以降)
- レンズ使用料
- 点眼薬料
- 1年間の定期検診費用(4ヶ月に1回)
- 破損交換保証費用
- レンズケース料(3ヶ月ごとに交換)
オルソケラトロジーのレンズは『高酸素通過性コンタクトレンズ』と呼ばれる特殊な治療用コンタクトレンズで、使用後は医療機関に返却することになっています。
定期検診やケアは、近視矯正の効果や目の健康状態の確認の他、レンズ交換の必要性など、レンタルしている医療器具の状態確認・維持も兼ねています。
そのため、検診は必ず受けて、レンズや目に異常が見られた場合は時期を待たず早めに医療機関を受診しましょう。
定額制と一括払いがある
オルソケラトロジーは一括払いが主流でしたが、近年は手厚い保証が特徴の定額制(サブスクリプションプラン)も多く見られます。
費用相場は各医療機関によって違いがあるため一概に明言はできませんが、それぞれの支払い方法の特徴や相場を、一例としてそれぞれ紹介します。
定額制 | 一括払い | |
---|---|---|
初年度費用 | 定額×12ヶ月
(定額を7,700円とした場合) ……92,400円(税込) |
・治療開始費用 (3ヶ月までの定期検診費用含む) ・定期検診費用 ……15万円前後 |
2年目以降 | 定額×12ヶ月
……92,400円(税込) |
・定期検診費用/1回約4,400円×年4回 ……年間約17,600円 |
レンズ交換保証 | 1年ごとに片眼2回まで無償交換 (毎年リセット) |
・保証外のレンズ交換時には費用発生
・数ヶ月以内の条件付きで破損保証がある場合も |
レンズ紛失 | 保証外レンズの負担が安く済む | レンズ一枚分負担(約3〜5万円) |
レンズ更新 | 1年ごとに片眼2回まで無償交換 (毎年リセット) |
レンズ一枚分負担(約3〜5万円) |
退会・返金等 | ・1年間は退会不可
・やむを得ない理由での退会の場合、解約時期によって返金がある場合も ・レンズ返却が条件 |
・退会時、レンズ返却
・返金は医療機関の規定による |
ただし、以下の費用はいずれの支払い方法でも共通して別途必要になります。
- 適応検査……約5,500円
- オルソケラトロジー専用ケア用品費用(毎月約2,000〜3,000円)
- 1週間のお試し装用(トライアルレンズ)貸出費用……約33,000円
また、レンズは2〜3年毎、または視力に変化があった時などのタイミングで交換が必要です。
オルソケラトロジー以外の治療法の費用相場を比較
オルソケラトロジーの他にも、視力回復治療で比較対象になるのがレーシックとICL(眼内コンタクトレンズ)があります。
視力矯正として使用されるメガネや通常のコンタクトレンズも、近視の抑制効果が期待できる方法に含まれます。
オルソケラトロジー以外の近視治療方法の費用相場(両眼)の一例を比較してみます。
クリニックによっては手術後3年間の定期検診を無料に設定していたり、コンタクトレンズの場合の処方箋は個人の判断で都度貰わなかったりなどがあるため、あくまで一例です。
詳しい費用については検討中のクリニックにお問い合わせ下さい。
視力矯正 | 費用相場・内訳など | 10年使用した場合 |
---|---|---|
レーシック |
|
※2年度以降年1回の定期検診を含めた場合
約23〜43万円 |
ICL |
|
※2年度以降年1回の定期検診を含めた場合
約59〜79万円 |
コンタクトレンズ |
|
約35〜65万円 |
メガネ |
|
※買い替えの都度処方箋を発行する場合
約12万〜17万円 |
片眼の場合、単純に半分にした額にはなりません。
レーシック
レーシックは保険適用外の近視・遠視・乱視を矯正できる視力回復手術で、角膜をレーザー照射で削って厚みを調整し、屈折異常を矯正します。
レーシックにはいくつか種類があり、使用機器やレーザー・保証期間によって費用が変わるため、費用相場も広くなります。
また、レーシックの費用には一般的に以下のものが含まれます。
- 術前検査費用
- 手術費用
- 術後検診費用
- 処方薬費用
費用設定は医療機関によってさまざまで、術後3年間までの検診代・アフターケアを含む場合や、両眼の手術費用を相場より低めに設定しているところもあります。
また、レーシックは角膜を削るため元には戻せません。選択する場合は慎重に検討しましょう。
ICL(眼内コンタクトレンズ)
ICLは別名『後房型有水晶体眼内レンズ』といい、虹彩と水晶体の間に専用のレンズを挿入する、目のインプラント手術です。
自由診療のため医療機関それぞれで費用が設定され、度数によって追加費用が発生する場合もあるなど、高額になりがちです。
しかし一度の手術で長期的に視力を維持しやすいのと、レンズを摘出すれば元に戻せるという特徴があります。
定期検診については、全て無料・途中から無料・全て有料など、医療機関によって設定がまちまちです。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズは治療ではないですが、視力に合った度数を使用することで近視の進行抑制効果が期待できます。
コンタクトレンズを購入する際は正しい度数が分かる処方箋が基本的に必要ですが、発行には健康保険が適用できます。
コンタクトレンズは1day・2week・1monthなど選ぶ種類によって費用が変わり、傾向として使用期間が長いほど低価格です。
レンズを購入する際は実費です。他の治療に比べると1年分でもそれほど高額ではありませんが、視力の改善は期待できないため、使用期間が長くなることを考慮する必要があります。
メガネ
コンタクトレンズもそうですが、メガネを作る際は処方箋は必ずしも必要なものではありません。しかし近視の進行抑制の効果を期待するのであれば保険診療での処方箋の発行がおすすめです。
買い替えの際も度数の変更に対応できるよう視力検査をすることで、目に合ったメガネを購入できます。
しかしコンタクトレンズ同様、長期の使用が予想されます。
オルソケラトロジーの費用を軽減するには
ここでは、オルソケラトロジーの費用を軽減するためのポイントを紹介します。
オルソケラトロジーは自由診療のため、健康保険の高額療養費は適用できませんが、医療費控除の対象とすることが可能です。
オルソケラトロジーは医療費控除の対象
オルソケラトロジーは、1年間に支払った医療費が10万円または総所得の5%を超える場合に確定申告を行うと、一部還付を受けられる場合があります。
対象費用の合計を出す
まずはかかった医療費の合計を出します。オルソケラトロジーにおいて対象になる費用は以下です。
- オルソケラトロジーの治療にかかった費用
- 診療費・検査費用(領収書の数字)
- 処方された薬代
- 医療機関への交通費(バスや電車などの公共機関)
領収書は、申告書類としての提出には必要ありませんが、5年間はいつ提出を求められてもいいように保管しておきましょう。
還付金はその人の税率による
還付金の計算をする際は、申告する人の税率の数字を使用します。
源泉徴収票を見て、以下を計算します。
【給与所得控除後の金額-所得控除の合計額=課税所得金額】
以下は、国税庁「所得税の税率」を参考にした税率表です。自身の課税所得金額にあたる税率を確認しましょう。
課税所得金額 | 税率 |
---|---|
1,000〜1,949,000円 | 5% |
1,950,000〜3,299,000円 | 10% |
3,300,000〜 6,949,000円 | 20%(今回の対象者) |
6,950,000〜8,999,000円 | 23% |
9,000,000〜17,999,000円 | 33% |
18,000,000〜39,999,000円 | 40% |
40,000,000以上 | 45% |
今回の計算例でのオルソケラトロジーの契約者は「課税所得金額が3,300,000〜 6,949,000円、税率は20%」の人と仮定します。
医療費控除の還付金額の計算方法
大阪鶴見まつやま眼科の7,700円の定額制(初年度・1月からの利用)をもとにおおよその還付金を計算してみましょう。
- 初期費用……50,000円
- 2ヶ月分の月額利用料
- 1年目の定期検診
- 検査代
- 初回ケア用品代
- 10ヶ月分の月額利用料……77,000円
- 紛失・保証外レンズご負担金……22,000円(両眼。1枚11,000円)
- 適応検査……5,500円
- ケア用品代……年間約30,000円
=医療費合計 184,500円
ここでは、所得税率は20%と仮定します。
医療費控除対象額=医療費合計 184,500円-保険金や給付金(今回は0円)-10万円
=医療費控除対象額 84,500円
還付金=医療費控除対象額 84,500円×所得税率20%
=還付金 16,900円
上記のケースでは、還付金は約16,900円となります。
あくまで一例となり、所得によっても還付金額は変わるため、詳しくは自分のケースに当てはめて計算してみましょう。
他の家族の医療費も対象
1年間の医療費の合計を出す場合は自由診療の他に、保険診療分の医療費や他の家族の医療費も合算できます。
その場合、民間の保険金や健康保険の高額療養費などで戻ってきた分は差し引く必要があります。
料金体系が明確なクリニックを選ぶ
料金が分かりにくいと、追加費用で思わぬ出費につながることがあります。
安心して治療を続け、結果につなげるためにも、料金体系が明確なクリニックを選びましょう。
定額制プランが払いやすい場合も
オルソケラトロジーの定額制プランは、高額になりがちな自由診療の初期費用が軽減できるメリットがあります。
また、レンズ保証が充実しており、不具合が起こった場合のスムーズな対応や、1年ごとに新しいレンズに交換してくれるところなどが、定額制プランの魅力です。
毎月決まった金額のみを負担する定額制プランは、初めてで不安のある方でも始めやすく、続けやすいためおすすめです。
まとめ
オルソケラトロジーの費用について、料金体系や保険適用、他の治療法との比較や軽減方法などを紹介しました。
治療法を選ぶ際、かかる費用はもちろん大切ですが、いつまで治療を続けるのか、治療を受ける本人にどのような負担がかかるかなど、検討する上で押さえたいポイントは人それぞれです。
医療法人松真会 大阪鶴見まつやま眼科では、オルソケラトロジーを始めやすくするため、定額プランをご用意しています。
定額プランはレンズの保証が手厚いため、紛失や破損の際の負担が少なく済み、交換保証は毎年リセットされます。
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