目の異物感/ゴロゴロする

目の異物感/ゴロゴロする

「目にゴミが入ったような感じがするのに、鏡で見ても何もない」
「まばたきするたびに、目がゴロゴロ、チクチクする」
「コンタクトを外しても異物感が取れない」

このような「目の異物感」は、非常によくある症状の一つです。多くの方が、「ホコリでも入ったかな」と軽く考えがちですが、その不快な感覚、実は単なるゴミが原因ではないかもしれません。むしろ、実際に異物がないのにゴロゴロ感だけが続く場合、その背後には治療が必要な目の病気が隠れている可能性が高いのです。

自己判断で目をこすったり、市販の目薬を使い続けたりすると、角膜(黒目)を傷つけたり、原因となっている病気を悪化させたりする危険性もあります。

この記事では、目の異物感でお悩みの患者さんに向けて、眼科専門医の立場から以下の内容を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。

  • そもそも「異物感」はなぜ起こるのか?
  • 実際に目に「何かがある」場合の原因(異物、逆さまつげ、結膜結石など)
  • 目に「何もない」のにゴロゴロする場合の、最も多い原因(ドライアイなど)
  • 家庭でできる応急処置と、絶対にやってはいけないこと
  • 眼科で行う検査と治療法

この記事を最後までお読みいただくことで、ご自身の症状への正しい知識が身につき、不快なゴロゴロ感から解放されるための適切な第一歩を踏み出すことができます。

目次

目の異物感:2つのパターン

目の異物感/ゴロゴロする

目がゴロゴロする原因は、大きく分けて2つのパターンがあります。それは、実際に目に何らかの「異物」が存在する場合と、異物はないものの目の表面に異常があり、「異物があるように感じてしまう」場合です。

考えられる原因①【実際に目に「何かがある」場合】

まずは、文字通り目に何かが入っている、あるいは接触していることで異物感が生じているケースです。

1. 異物(ゴミ・ホコリなど)

砂やホコリ、鉄粉、虫、植物片、化粧品のラメなど、外から目に入った小さな異物が、まぶたの裏側や角膜に付着している状態です。痛みや充血、涙が止まらないといった症状を伴います。無理に取ろうと目をこすると、角膜を深く傷つけてしまうため大変危険です。

2. 逆さまつげ

本来は外側に向かって生えているまつ毛が、内側(眼球側)に向かって生えてしまい、角膜や結膜に常に接触している状態です。まばたきをするたびに、まつ毛の先端が目の表面を擦るため、慢性的・断続的なゴロゴロ感や痛み、充血の原因となります。

3. 結膜結石

まぶたの裏側の結膜にできる、白〜黄色の硬い砂粒のような塊です。これは、古い細胞や分泌物が固まって石灰化したもので、加齢や慢性的なアレルギー性結膜炎がある方にできやすい傾向があります。通常は結膜の下に埋まっていますが、表面に露出してくると、非常に強い異物感や痛みを引き起こします。眼科で簡単に除去することが可能です。

4. コンタクトレンズのトラブル

コンタクトレンズに付着したタンパク汚れや、レンズの傷、破損したレンズの破片が目の中に残っている場合、強い異物感の原因となります。また、レンズがずれてまぶたの裏側に入り込んでしまうこともあります。

考えられる原因②【目に「何もない」のにゴロゴロする場合】

多くの方が悩む、しつこい異物感の原因は、むしろこちらのケースが非常に多いです。目の表面(角膜・結膜)に異常が起き、その結果として「何かがあるように」感じてしまいます。

1. ドライアイ

目に異物がないのにゴロゴロ感が続く場合、最も考えられる原因がドライアイです。涙は、目の表面を潤し、まばたきをスムーズにする潤滑油の役割を果たしています。ドライアイになると、この潤滑油が不足するため、まぶたが目の表面をスムーズに滑ることができず、摩擦が生じます。この「摩擦」が、脳に「何か異物がある」という誤った信号として伝わり、ゴロゴロ感が生じるのです。

2. 角膜びらん(角膜の傷)

目の表面を覆う角膜の上皮が剥がれたり、傷がついたりした状態です。たとえ原因となった異物が涙で洗い流された後でも、傷そのものが治るまでは、強い異物感や痛みが続きます。

3. アレルギー性結膜炎

花粉やハウスダストによるアレルギー反応で、まぶたの裏側に「乳頭」と呼ばれるブツブツとした隆起ができることがあります。この隆起が、まばたきのたびに角膜を擦るため、強いかゆみと共に異物感の原因となります。

4. 麦粒腫・霰粒腫(ものもらい・めばちこ)

まぶたにできる炎症やしこり(できもの)です。まぶたの外側だけでなく、内側にできることもあり、その場合は、しこりが眼球を圧迫したり、まばたきの際に擦れたりして異物感を引き起こします。

目がゴロゴロするときの応急処置と注意点

家庭でできること

  • まばたきを繰り返す:涙の分泌を促し、小さな異物であれば自然に洗い流せる可能性があります。
  • 人工涙液で洗い流す:防腐剤の入っていない、使い切りタイプの人工涙液を多めに点眼し、異物を洗い流すように試みます。

絶対にやってはいけないこと

  • 目をこする:これが最も危険です。角膜に傷をつけたり、異物を角膜に突き刺してしまったりする恐れがあります。
  • 水道水で目を洗う:水道水は無菌ではなく、浸透圧も涙と異なるため、目のバリア機能を壊したり、感染症を引き起こしたりするリスクがあります。
  • 無理に異物を取ろうとする:ピンセットや綿棒などで直接異物を取ろうとすると、目を傷つける危険性が非常に高いです。

応急処置をしても異物感が取れない場合は、ためらわずに眼科を受診してください。

当院での診断と治療

鶴見区今福鶴見の大阪鶴見まつやま眼科では、まず問診で症状を詳しくお伺いした後、「細隙灯顕微鏡検査」という機械で目の表面を詳細に観察します。この検査では、肉眼では見えないような小さな異物や角膜の傷、まつ毛の異常、結石、アレルギーの兆候などを正確に見つけることができます。必要に応じて、特殊な色素(フルオレセイン)で角膜を染め、傷の有無を調べることもあります。

診断がついたら、原因に応じた治療を行います。

  • 異物除去:点眼麻酔をした上で、専用の器具で安全に異物を除去します。
  • 点眼薬の処方:ドライアイ、アレルギー、感染症などに対して、それぞれに合った点眼薬を処方します。
  • 逆さまつげ・結膜結石の処置:逆さまつげは抜き、結膜結石は簡単に除去することができます。

まとめ:しつこい異物感は、目の表面からのSOSサインです

目のゴロゴロ感は、目の表面で何らかのトラブルが起きていることを知らせる重要なサインです。

【この記事のポイント】

  • 目にゴミが入っていなくても、ドライアイが原因でゴロゴロ感は頻繁に起こる
  • その他、逆さまつげ結膜結石など、自分では見つけられない原因も多い。
  • ゴロゴロするときは、絶対に目をこすらず、人工涙液で流す程度に留める。
  • しつこい異物感や痛みを伴う場合は、自己判断せずに必ず眼科を受診する

不快な異物感を我慢し続けると、慢性的な不快感だけでなく、角膜障害など視力に関わる問題に発展することもあります。

原因を正確に突き止め、適切に対処すれば、その不快な症状はきっと改善します。どうぞお気軽に当院へご相談ください。

目の異物感/ゴロゴロする よくあるご質問(Q&A)

目にゴミが入った時、どうすればよいですか? やってはいけないことはありますか?

目にゴミやホコリが入った際は、まず落ち着いて対処することが大切です。可能であれば、防腐剤の入っていない人工涙液を多めに点眼するか、清潔な洗面器に張った流水で優しく洗い流してみてください。まばたきを繰り返すことで、涙と一緒に自然に流れ出ることもあります。

ここで最も重要な、絶対にやってはいけないことは「目を強くこする」ことです。かゆみや異物感から無意識にこすってしまいがちですが、これによって角膜(黒目)や結膜(白目)の表面に傷がついてしまう危険性があります。また、もし硬い異物だった場合、こすることでさらに深く組織に食い込んでしまう恐れもあります。

洗い流しても異物感が取れない場合や、痛みが強くなる場合は、無理をせずに眼科を受診してください。

目を洗っても異物感が取れません。ゴミは見当たらないのですが、なぜゴロゴロするのでしょうか?

異物が見当たらないのにゴロゴロ感が続く場合、いくつかの原因が考えられます。

一つは、すでにご説明した通り、目に入った異物を洗い流す際に、角膜(黒目)の表面に微細な傷(角膜びらん)がついてしまった可能性です。角膜は非常に敏感なため、ほんの小さな傷でも「何かが入っている」ように感じることがあります。

また、異物感の原因として非常に多いのが「ドライアイ」です。涙の量が不足したり、涙の質が悪くなったりすると、目の表面が乾燥し、まばたきの際の摩擦が大きくなるため、ゴロゴロとした異物感が生じます。

その他にも、まぶたの裏にできた「結膜結石」という白い石のようなものが表面に出てきて角膜に当たっているケースなどもあります。原因を特定するためにも、症状が続く場合は眼科での診察をお勧めします。

目の乾き(ドライアイ)で、目にゴミが入っているような感じがすることはありますか?

はい、それはドライアイの非常に典型的な症状の一つです。実際にゴミが入っていなくても、ドライアイの患者さんが「目がゴロゴロする」「砂が入ったような感じがする」と訴えることは少なくありません。

私たちの目の表面は、涙の薄い膜によって潤され、滑らかな状態が保たれています。しかし、ドライアイになるとこの涙の膜が不安定になり、所々が乾いてしまいます。その結果、まぶたが目の表面をスムーズに動くことができず、摩擦が生じます。この「摩擦」による刺激を、脳が「異物がある」と錯覚してしまうのです。

特に、パソコンやスマートフォンの画面を集中して見ている時や、エアコンの効いた乾燥した部屋にいる時に症状が悪化する傾向があります。心当たりがある場合は、意識的にまばたきを増やしたり、加湿器を使用したりするなどの対策も有効です。

コンタクトレンズをつけていると、目がゴロゴロすることがあります。原因は何ですか?

コンタクトレンズ装用中のゴロゴロ感には、いくつかの原因が考えられます。

まず、レンズ自体の問題です。レンズにタンパク質などの汚れが付着している、レンズに傷や破損がある、レンズが裏返しになっている、といった場合に異物感が生じます。

次に、コンタクトレンズが引き起こすドライアイです。レンズが涙を吸収したり、涙の蒸発を促進したりすることで目が乾き、ゴロゴロ感の原因となります。

さらに、長期間の使用により、レンズの汚れに対するアレルギー反応が起こることもあります。上まぶたの裏側に「巨大乳頭」と呼ばれるブツブツができ、それが角膜に触れることで異物感やかゆみを引き起こします(巨大乳頭結膜炎)。

ゴロゴロ感が続く場合は、まずレンズを外してよく洗浄し、それでも改善しない場合は装用を中止して、眼科で原因を調べてもらうことが重要です。

鉄粉など、目に入ると特に危険なものはありますか?すぐに眼科へ行くべきなのはどんな時ですか?

はい、目に入る異物の種類によっては、緊急の対応が必要な危険なものがあります。

代表的なのは、工事現場やグラインダー作業などで目に入る可能性のある**「鉄粉」**です。鉄粉は角膜に刺さりやすく、時間が経つと錆(さび)が出て、目の組織に強い炎症を起こしたり、感染の原因になったりします。錆が広がると、除去しても角膜に濁りが残ってしまうことがあるため、できるだけ早く取り除く必要があります。

その他、高速で飛んできたガラス片や金属片、薬品、植物の枝葉なども、目に深い傷をつけたり、感染症を引き起こしたりするリスクが高いです。

以下のような場合は、すぐに眼科を受診してください。

  • 鉄粉などの金属片が入った可能性がある時。
  • 強い痛みや充血、視力低下を伴う時。
  • 洗い流しても異物感が全く取れない時。

まぶたの裏に白いできものができて、目がゴロゴロします。これは何ですか?

まぶたの裏側(結膜)にできた白い点や塊が原因でゴロゴロ感がある場合、それは「結膜結石(けつまくけっせき)」かもしれません。

結膜結石は、その名の通り「石」という字がつきますが、実際には結膜の上皮細胞や分泌物などが変性し、カルシウムが沈着してできた乳白色の硬い塊です。加齢や慢性的な結膜の炎症に伴ってできると考えられています。

結石が結膜の深い部分に埋まっている間は無症状ですが、徐々に表面に露出し、まばたきのたびに角膜(黒目)に接触するようになると、まるで砂粒が入っているかのような強い異物感や痛みを引き起こします。

結石自体は悪性のものではありませんが、症状の原因となっている場合は、眼科で簡単に取り除くことができます。点眼麻酔をするため、処置の際に痛みはほとんどありません。気になる症状があればご相談ください。

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