「まつ毛が短くて、ビューラーやマスカラが映えない」
「まつ毛が薄く、まばらで目元の印象が寂しい」
「エクステやパーマのダメージで、まつ毛が抜けてしまった」
このような、まつ毛に関するお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。市販のまつ毛美容液を試しても、なかなか思うような効果を実感できなかった、という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
もし、あなたが本気で「長く、太く、濃い」自まつ毛を手に入れたいと願うなら、医療機関で処方される「グラッシュビスタ」という選択肢があります。グラッシュビスタは、日本で唯一、まつ毛貧毛症の治療薬として厚生労働省から製造販売承認を受けている、医療用のまつ毛外用薬です。
この記事では、グラッシュビスタに興味をお持ちの患者さんに向けて、眼科専門医の立場から以下の内容を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
- グラッシュビスタがまつ毛を伸ばす医学的な仕組み
- 市販のまつ毛美容液との根本的な違い
- 効果を最大限に引き出すための、正しい使い方と注意点
- 知っておくべき副作用と、安全に使用するためのポイント
この記事を最後までお読みいただくことで、グラッシュビスタへの理解が深まり、安全かつ効果的な「医療まつ育」を始めるための一歩を踏み出すことができます。
グラッシュビスタとは?国が認めた「まつ毛を育てる」医薬品
グラッシュビスタは、まつ毛が不足していたり、不十分であったりする「まつ毛貧毛症」の患者さんのための治療薬です。その主成分は「ビマトプロスト」というもので、もともとは緑内障治療のための点眼薬として使用されていました。その治療の過程で、副作用として「まつ毛が長く、太く、濃くなる」という効果が認められたことから、まつ毛貧毛症治療薬として開発されたという経緯があります。
市販の「まつ毛美容液」との決定的な違い
ドラッグストアなどで手に入る「まつ毛美容液」と、医療機関で処方される「グラッシュビスタ」は、全くの別物です。
- まつ毛美容液(化粧品):主な目的は「まつ毛の補修・保湿・ハリコシを与える」ことです。あくまでも今生えているまつ毛をケアするためのもので、「まつ毛を育てる・伸ばす」という効果は謳えません。
- グラッシュビスタ(医薬品):「まつ毛の成長(毛周期)に作用し、不十分なまつ毛を長く、太く、濃くする」という効果が、科学的な臨床試験によって証明され、国から承認されています。
効果を実感したいのであれば、医薬品であるグラッシュビスタを選ぶことが最も確実な方法と言えます。
グラッシュビスタの効果のメカニズム
まつ毛には、髪の毛と同じように「毛周期」という成長のサイクルがあります。グラッシュビスタの主成分であるビマトプロストは、この毛周期の中の「成長期」を延長させる働きがあると考えられています。成長期が長くなることで、まつ毛がより長く、太く成長し、またメラニン色素の生成を活性化させることで、まつ毛をより濃くするとされています。
臨床試験では、4ヶ月間の使用で、多くの被験者において「長さ」「太さ」「濃さ」の全ての項目で顕著な改善効果が確認されています。
効果を最大限に引き出すためのグラッシュビスタの正しい使い方
グラッシュビスタは医薬品であるため、効果を正しく得て、副作用のリスクを最小限に抑えるためには、定められた使用方法を厳守することが非常に重要です。1日1回、夜の洗顔後にご使用ください。
- 【準備】ご使用前に、必ず洗顔し、メイクを完全に落としてください。コンタクトレンズは外してください。(再装着は塗布後15分以上経ってから)
- 【薬液をブラシに】滅菌済みの専用ブラシ(アプリケーター)を1本取り出し、水平に持ちます。ブラシの先端に、グラッシュビスタの薬液を1滴だけ滴下します。
- 【上まぶたに塗布】滴下後すぐに、アイラインを引くように、上まつ毛の生え際にブラシをゆっくりと沿わせます。目頭から目尻の方向へ、丁寧に塗布してください。(※下まつ毛には塗布しないでください)
- 【拭き取る】生え際以外についた余分な薬液は、ティッシュなどで丁寧に拭き取ってください。
- 【ブラシを捨てる】一度使用したブラシは必ず捨ててください。衛生面から、再使用は絶対にしないでください。
- 反対側の目も、新しいブラシを使って1〜5の手順を繰り返します。
【注意点】
- 塗り忘れた場合でも、1日に2回塗ったり、1回に2滴以上使ったりしないでください。効果が高まることはなく、副作用のリスクが上がるだけです。
- 薬液の容器の先端が、指や他の場所に触れないように注意してください。
知っておきたい副作用と安全のための注意点
グラッシュビスタは安全性が確認された医薬品ですが、全ての方に副作用が起こらないわけではありません。処方を受ける際には、必ず医師から詳しい説明を受けてください。
主な副作用
- 目の充血、かゆみ、目の乾き、まぶたの赤み:これらは比較的よく見られる副作用ですが、多くは一時的なものです。
- まぶたの黒ずみ(色素沈着):薬液がまぶたの皮膚に付着することで、シミのように黒ずむことがあります。塗布後に余分な薬液をしっかり拭き取ることで、このリスクは大幅に軽減できます。多くの場合、使用を中止すれば元の色に戻ります。
- 虹彩(黒目)の色が濃くなる可能性:非常にまれですが、虹彩の色が濃くなるという報告があります。この変化は、使用を中止しても元に戻らない可能性があるため、特に注意が必要です。
- まぶたがくぼむ、二重のラインが深くなるなどの報告もあります。
これらの副作用のリスクを正しく理解し、万が一異常を感じた場合には、すぐに使用を中止して医師に相談することが大切です。だからこそ、医師の診察と指導のもとで使用することが絶対条件となります。
個人輸入品の危険性について
インターネット上では、グラッシュビスタのジェネリック医薬品と称する海外製品が販売されていることがあります。しかし、これらの個人輸入品は、偽造品や粗悪品である可能性が否定できず、深刻な健康被害を引き起こすリスクがあります。また、衛生的な問題や、正しい使い方の指導を受けられないというデメリットもあります。必ず国内で承認された正規品を、医療機関で処方してもらってください。
まとめ:安全な「医療まつ育」は、眼科医にご相談ください
グラッシュビスタは、その効果と安全性が国によって認められた、唯一の医療用まつ毛育毛剤です。
【この記事のポイント】
- グラッシュビスタは、まつ毛を「長く・太く・濃くする」効果が認められた医薬品。
- 効果の秘密は、まつ毛の成長期を延長させる主成分「ビマトプロスト」。
- 1日1回、上まつ毛の生え際に正しく塗布することが重要。
- 色素沈着などの副作用リスクを避けるため、医師の指導が不可欠。
- 安全のため、個人輸入品は絶対に使用せず、医療機関で正規品を処方してもらうこと。
鶴見区今福鶴見の大阪鶴見まつやま眼科は、目の専門家である眼科クリニックです。まつ毛の悩みに対して、医学的根拠に基づいた正しい治療をご提案することはもちろん、目の安全を第一に考えた上で、丁寧な診察と処方、使用方法の指導を行っております。
自己流のケアで満足できなかった方も、まつ毛のことで本気でお悩みの方も、ぜひ一度、当院へご相談ください。専門医と一緒に、安全で効果的な「医療まつ育」を始めましょう。
グラッシュビスタ よくあるご質問(Q&A)
グラッシュビスタは、まつ毛が不足していたり、不十分であったりする「睫毛貧毛症」に対応する、医療用のまつ毛外用薬です。当院では、医師の診断のもと、このグラッシュビスタの処方を行っています。
ここでは、患者さんからよくいただくご質問とその回答をまとめました。
グラッシュビスタ®とは、どのような薬ですか?効果と使い方を教えてください。
グラッシュビスタは、国内で唯一、厚生労働省から「睫毛貧毛症治療薬」として製造販売の承認を受けている医療用医薬品です。市販のまつ毛美容液とは異なり、その効果と安全性が科学的に証明されています。主な効果は、まつ毛の「長さ、太さ、濃さ」を改善することです。
使い方はとても簡単で、1日1回、夜の洗顔後に専用のブラシ(アプリケーター)を使って、上まつ毛の生え際にアイラインを引くように塗布します。下まぶたや眼球には塗らないようご注意ください。効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、多くの場合、使用開始から1~2か月ほどで変化を感じ始め、4か月程度で満足のいく効果が得られたという臨床結果が報告されています。
副作用はありますか?まぶたが黒ずむ(色素沈着する)と聞きましたが…。
グラッシュビスタは医薬品ですので、効果がある一方で副作用のリスクも伴います。最も注意すべき副作用の一つが、塗布した部分やまぶたの周りが黒ずむ「色素沈着」です。また、まれに虹彩(茶目の部分)の色が濃くなることもあり、こちらは元に戻らない可能性があります。その他、目の充血やかゆみ、乾燥などが起こることもあります。
これらの副作用のリスクを最小限に抑えるためには、定められた用法・用量を守り、薬液が必要な部分以外につかないようにすることが非常に重要です。塗布する際は、液が垂れないよう余分な薬液をそぎ落とし、もし皮膚についた場合はすぐに拭き取ってください。医師の指導のもと正しく使用することで、安全に治療を進めることが可能です。ご不安な点は、診察時に何でもご質問ください。
どこで購入できますか?費用はどのくらいかかりますか?
グラッシュビスタは、医師の診察が必要な「医療用医薬品」です。そのため、ドラッグストアなどの一般店舗や、インターネット通販では購入することはできません。必ず、医師の診断のもとで処方を受ける必要があります。海外製の類似品や偽造品も出回っていますが、健康被害のリスクがあるため絶対に使用しないでください。
また、この治療は美容目的となるため、健康保険は適用されず「自由診療」となります。費用は全額自己負担です。費用は医療機関によって異なりますが、一般的には薬剤1箱(約70日分)と専用アプリケーターのセットで15,000円~20,000円程度が目安となります。詳しい費用については、当院までお気軽にお問い合わせください。