「加齢黄斑変性と診断され、目に注射が必要と言われた」
「糖尿病が原因で、目の奥がむくんでいると言われた」
「硝子体注射という治療法について、詳しく知りたい」
このような経緯で、目の「硝子体注射」について調べている方が多くいらっしゃることでしょう。
「目に注射」と聞くと、強い不安や恐怖を感じるかもしれません。
しかし、ご安心ください。硝子体注射は、特定の目の病気による視力低下や失明を防ぐために、現在、世界中で広く行われている、非常に効果的で確立された治療法です。
鶴見区今福鶴見の大阪鶴見まつやま眼科では、豊富な経験を持つ医師が、患者さんのご不安に寄り添いながら、安全・確実に硝子体注射治療を行っています。
この記事では、硝子体注射を検討されている患者さんに向けて、以下の内容を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
- 硝子体注射が効く仕組みと、「VEGF」という悪玉物質について
- 注射の対象となる3つの代表的な病気と、使用する薬剤の種類
- 当院で行う、痛みに配慮した注射の詳しい流れ
- 治療にかかる費用と、負担を軽減する「高額療養費制度」について
- 治療のメリット、デメリット(副作用)、注意点
この記事を最後までお読みいただくことで、硝子体注射への正しい知識と理解が深まり、過度な不安なく、前向きに治療の第一歩を踏み出すことができます。
硝子体注射(抗VEGF薬治療)とは?

硝子体注射とは、薬剤を目の中の「硝子体」というゼリー状の組織に直接注射することで、病気の原因に薬を届ける治療法です。
特に、後述する3つの病気に共通する悪玉物質として「VEGF(血管内皮増殖因子)」というタンパク質が知られています。VEGFは、本来は血管を新しく作るために必要な物質ですが、目の中で過剰に作られると、以下のような悪影響を及ぼします。
- 新生血管の発生:もろくて破れやすい、質の悪い血管を作り出す。
- 血管からの漏れ(血管透過性の亢進):血管の壁をゆるくし、血液中の成分(水分や脂質など)を漏れ出させる。
この結果、網膜に出血やむくみ(浮腫)が起こり、視力に深刻なダメージを与えます。硝子体注射で用いられる薬剤は、このVEGFの働きを直接抑え込む「抗VEGF薬」です。抗VEGF薬を目の中に投与することで、新生血管の活動を抑え、血管からの漏れを止めて、網膜の出血やむくみを改善させるのです。
硝子体注射の対象疾患と主な薬剤
当院では、主に以下の3つの病気に対して、抗VEGF薬による硝子体注射を行っています。
使用する薬剤は、患者さんの病状や進行度、ライフスタイルに合わせて、医師が最適なものを選択します。
1. 加齢黄斑変性

加齢に伴い、物を見る中心である「黄斑」に異常な血管(新生血管)が生じる病気です。特に、網膜の下に新生血管が発生する「滲出型」は、進行が速く、急激な視力低下をきたします。この新生血管の発生と成長に、VEGFが深く関わっています。
- 【症状】視界の中心が歪んで見える(変視症)、中心が暗く見える(中心暗点)、視力低下など。
- 【治療】抗VEGF薬を注射することで、新生血管を退縮させ、病気の進行を抑制し、視力の維持・改善を目指します。
2. 糖尿病黄斑浮腫

糖尿病の三大合併症の一つである「糖尿病網膜症」が進行し、黄斑部に血液成分が漏れ出して、黄斑浮腫(むくみ)を起こした状態です。血管からの漏れを促進するのがVEGFです。
- 【症状】視界がかすむ、歪んで見える、視力低下など。
- 【治療】抗VEGF薬を注射することで、血管からの漏れを抑え、黄斑のむくみを軽減させ、視力の維持・改善を目指します。

3. 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫

網膜の静脈が詰まり(閉塞)、血液の流れが滞ることで、網膜に出血や黄斑浮腫(むくみ)が起こる病気です。血管が詰まることで網膜が酸素不足に陥り、それを補おうとしてVEGFが大量に放出され、黄斑浮腫を引き起こします。
- 【症状】急な視力低下、かすみ目、視野の一部が欠けるなど。
- 【治療】抗VEGF薬を注射することで、黄斑浮腫を強力に抑え、視力の維持・改善を目指します。

当院で使用する主な抗VEGF薬
現在、国内で承認されている抗VEGF薬にはいくつかの種類があり、それぞれに特長があります。
- アイリーア® (Eylea®):VEGFだけでなく、同様に血管の漏れに関わるPlGFという物質も阻害します。非常に多くの網膜疾患に適応があり、治療効果と安全性が確立されている、標準的な薬剤の一つです。
- バビースモ® (Vabysmo®):VEGFと、血管の安定化に関わる「Ang-2(アンジオポエチン-2)」という物質の両方を阻害する、新しい作用機序を持つ薬剤です。効果の持続期間が長く、注射の間隔を最長4ヶ月まで延長できる可能性があり、患者さんの通院負担を軽減できることが期待されています。
- ベオビュ® (Beovu®):薬剤の分子量が小さく、モル濃度が高いのが特徴で、網膜のむくみを強力に引かせる効果が期待できます。注射の間隔を最長3ヶ月まで延長できる可能性があります。
- ルセンティス® (Lucentis®):世界で初めて登場した抗VEGF薬であり、豊富な臨床データと長期にわたる安全性の実績があります。
当院での硝子体注射の流れ
当院では、患者さんのご不安を少しでも和らげられるよう、丁寧な説明と痛みに配慮した手順で、安全な注射を心がけています。
まず視力・眼圧検査、OCT(光干渉断層計)検査などで目の状態を正確に評価し、注射の適応があるかを最終判断します。医師から、治療の必要性や効果、リスクについて改めて詳しくご説明します。
手術室(クリーンルーム)で、目の周りを清潔に保つための準備をします。次に、麻酔の目薬を数回にわたって丁寧に点眼します。これにより、目の表面の感覚をなるべく無くし、注射の際の痛みを和らげます。
手術後の感染症(眼内炎)を防ぐため、目の周りと目の表面をイソジンなどの消毒薬で徹底的に洗浄・消毒します。これは、安全な治療を行う上で最も重要なステップです。
まぶたを開いた状態に固定し、医師が患者さんに特定の方向を見ていただくようお声がけします。そして、白目の部分(結膜)から、極細の針を使って手早く薬剤を硝子体内に注入します。注射そのものにかかる時間は、ほんの数秒です。
抗菌薬の軟膏を入れて眼帯をし、そのままご帰宅いただけます。注射当日は、ご自身での運転はお控えください。
治療のメリットとデメリット(副作用)
メリット
- これまで治療が難しかった網膜疾患に対して、視力の維持・改善が期待できる非常に効果の高い治療法です。
- 治療は外来で、短時間で行うことができます。
- 病気の原因物質(VEGF)に直接作用するため、効果の発現が早いです。
デメリットと副作用のリスク
- 複数回の治療が必要:薬の効果は永続的ではないため、病状に合わせて定期的に注射を繰り返す必要があります。通常、治療初期は月1回のペースで数回行い、その後は症状を見ながら間隔を調整していきます。
- 一般的な副作用:注射後に、目の中に気泡や影が見えたり(飛蚊症の悪化)、白目に出血(結膜下出血)が起こったりすることがありますが、これらは数日で自然に消えることがほとんどです。
- 重篤な合併症(非常にまれ):最も注意すべき合併症は、細菌が目の中に入る「眼内炎」です。発生頻度は数千件に1件と非常に低いですが、万が一起こると失明に至る危険性があります。その他、網膜剥離や白内障の進行、眼圧の上昇などのリスクも報告されています。当院では、徹底した消毒と清潔操作により、これらの合併症リスクを最小限に抑えています。
硝子体注射の費用について|保険適用と高額療養費制度
硝子体注射は、上記対象疾患に対して健康保険が適用される治療です。患者さんの自己負担額は、年齢や所得に応じて1割〜3割となります。
自己負担額の目安
薬剤費が高額なため、自己負担額も比較的高額になります。おおよその目安は以下の通りです。(2025年9月現在)
- 【3割負担の方】約45,000円 〜 55,000円程度
- 【2割負担の方】約30,000円 〜 37,000円程度
- 【1割負担の方】約15,000円 〜 18,500円程度
※使用する薬剤の種類によって、費用は若干異なります。
【重要】医療費の負担を軽減する「高額療養費制度」
高額な治療費に不安を感じるかもしれませんが、日本の公的医療保険には「高額療養費制度」という、医療費の自己負担を軽減する仕組みがあります。これは、1か月間(1日から末日まで)に支払った医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、その超えた金額が後から払い戻される制度です。
硝子体注射は薬剤が高価なため、多くの場合、この制度の対象となります。例えば、70歳未満で標準的な所得の方の場合、1か月の自己負担上限額は約8万円程度となり、それ以上支払った分は後で還付されます。また、70歳以上の方には、さらに低い上限額が設定されています。
この制度を利用することで、実際の負担額を大幅に抑えることが可能です。ご自身の自己負担限度額や申請方法など、詳しくはご加入の公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、市町村の国民健康保険など)にお問い合わせください。
硝子体注射なら、大阪鶴見まつやま眼科へ
硝子体注射は、視機能を守るための非常に重要な治療ですが、患者さんにとっては身体的・精神的な負担も伴います。だからこそ、安心して治療を任せられるクリニック選びが大切です。
鶴見区今福鶴見の大阪鶴見まつやま眼科では、以下の点をお約束し、患者さんに寄り添った医療を提供します。
- 経験豊富な医師による安全な施術:硝子体注射の経験が豊富な医師が、安全性を最優先に、丁寧かつ確実な手技で治療を行います。
- 的確な診断と丁寧な説明:最新の検査機器(OCTなど)を駆使して病状を正確に評価し、患者さんがご自身の目の状態と治療の必要性を十分に理解・納得できるまで、時間をかけてご説明します。
- 徹底した感染対策:重篤な合併症である眼内炎を防ぐため、厳格な衛生管理基準に基づき、清潔な環境で万全の感染対策を行っています。
- 通院しやすいアクセスと温かい雰囲気:大阪市鶴見区の地域医療を担うクリニックとして、通院しやすい環境を整え、スタッフ一同、患者さんの不安な気持ちに寄り添う温かい対応を心がけています。
視界の中心が歪む、かすむといった症状にお気づきの方、あるいは他の医療機関で硝子体注射を勧められ、不安をお持ちの方は、ぜひ一度、大阪鶴見まつやま眼科にご相談ください。
あなたの目の健康と、大切な視力を守るために、私たちが全力でサポートいたします。