目が痛い

目が痛い

「目にゴミが入ったようなゴロゴロした痛み」
「ズキズキと脈打つように目の奥が痛い」
「目が開けられないほどの激しい痛みと吐き気がする」

「目が痛い」という症状は、誰にとっても非常につらく、不安なものです。
その痛みは、あなたの目からの重要なSOSサインかもしれません。「ただの疲れ目だろう」「しばらくすれば治るだろう」と軽く考えて放置してしまうと、取り返しのつかない視力障害につながる可能性もあるため、注意が必要です。

「目が痛い」と一言でいっても、その原因は多岐にわたります。比較的軽いものから、失明に至る危険性のある緊急性の高い病気まで様々です。自己判断で市販の目薬を使うことは、かえって症状を悪化させることもあるため大変危険です。

この記事では、目の痛みに悩む患者さんに向けて、眼科専門医の立場から以下の内容を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。

  • 痛みの種類でわかる、考えられる原因
  • 目の表面の痛み(ゴロゴロ・チクチク)を引き起こす病気
  • 目の奥の痛み(ズキズキ・重い痛み)を引き起こす病気
  • 【緊急】すぐに眼科を受診すべき危険な目の痛み
  • 眼科で行われる検査と治療法

この記事を最後までお読みいただくことで、ご自身の症状への理解が深まり、なぜ眼科の受診が重要なのかをご理解いただけます。

目次

痛みの種類から原因を探る|表面の痛み?奥の痛み?

目が痛い

目の痛みの原因を考える上で、まず「どこがどのように痛むか」が重要な手がかりになります。大きく分けて、目の表面が痛む場合と、目の奥が痛む場合に分けられます。

  • 目の表面の痛み(角膜・結膜など):
    「ゴミが入ったようにゴロゴロする」「チクチク、ヒリヒリする」「しみるような痛み」などが特徴です。異物、傷、ドライアイ、結膜炎などが考えられます。
  • 目の奥の痛み(眼球内部・視神経など):
    「ズキズキと脈打つように痛い」「眼球が圧迫されるような重い痛み」「目を動かすと痛い」などが特徴です。緊急性の高い緑内障発作や、ぶどう膜炎、視神経炎などの可能性があります。

考えられる病気①【目の表面の痛み】の場合

比較的多くの方が経験する、ゴロゴロ・チクチクとした表面的な痛みの原因です。

異物・角膜びらん(角膜の傷)

目にゴミや砂、まつ毛などが入ることで、角膜(黒目)の表面に傷がつき、強い痛みや異物感、涙が出るといった症状が現れます。コンタクトレンズの不適切な使用によって角膜に傷がつくことも少なくありません。目をこすると傷が深くなるため、絶対にこすらず、すぐに眼科を受診してください。

細菌性・ウイルス性結膜炎

細菌やウイルスに感染して結膜が炎症を起こす病気です。充血や大量の目やにを伴い、ゴロゴロとした痛みを感じることがあります。特にウイルス性の「はやり目」は感染力が非常に強いため、注意が必要です。

麦粒腫(ものもらい・めばちこ)

まぶたの汗腺やまつ毛の毛根に細菌が感染し、炎症を起こす病気です。まぶたが赤く腫れ、まばたきをしたり、押したりすると痛みを感じます。

ドライアイ

涙の量が減ったり、質が悪くなったりして目の表面が乾く病気です。涙のバリア機能が低下するため、角膜が傷つきやすくなり、「目が乾く」という感覚だけでなく、「ゴロゴロする」「ヒリヒリ痛い」といった症状を引き起こします。

角膜感染症(角膜ヘルペスなど)

角膜に細菌やウイルス(ヘルペスウイルスなど)、真菌(カビ)などが感染して炎症を起こす病気です。強い目の痛みや充血、視力低下を伴います。特にコンタクトレンズ装用者に多いアカントアメーバ角膜炎は、激痛を伴い、失明に至ることもある非常に危険な病気です。

考えられる病気②【目の奥の痛み】の場合

目が痛い

目の奥に感じるズキズキとした痛みは、より緊急性の高い、重篤な病気のサインである可能性があります。

【緊急性が最も高い】急性緑内障発作

房水(目の中を循環する液体)の出口が急に塞がれ、眼圧が急激に上昇することで起こる、眼科領域で最も緊急性の高い病気の一つです。以下のような症状が特徴で、発症から数時間以内に処置をしないと失明に至る危険性があります

  • ハンマーで殴られたような激しい目の痛み
  • 頭痛、吐き気、嘔吐
  • 急激な視力低下、かすみ
  • 電灯の周りに虹のような輪が見える(虹視症)

このような症状が一つでもあれば、夜間や休日でもためらわず、救急外来を受診してください。

ぶどう膜炎

目の中に炎症が起こる病気の総称です。ズキズキとした鈍い痛み、かすみ、まぶしさ、飛蚊症(黒い点が飛ぶ)などの症状が現れます。原因は様々で、治療が長期にわたることも多い疾患です。

視神経炎

視神経に炎症が起こる病気で、20〜40代の女性に比較的多く見られます。目を動かすと目の奥が痛むのが特徴的な症状です。急な視力低下や、色の見え方がおかしくなるといった症状を伴います。

眼精疲労

度数の合わないメガネの使用や、長時間のVDT作業(パソコン・スマホ)などによって目に過度な負担がかかることで起こります。目の奥の鈍い痛みや、かすみ、頭痛、肩こりなどを伴います。単なる「疲れ目」とは異なり、休息や睡眠をとっても症状が回復しないのが特徴です。

【要注意】すぐに眼科を受診すべき危険な「目の痛み」

以下のような症状を伴う目の痛みは、重篤な病気のサインかもしれません。様子を見ることなく、直ちに眼科を受診してください。

  • 我慢できないほどの激しい目の痛み
  • 吐き気や頭痛を伴う目の痛み
  • 急激な視力低下を伴う目の痛み
  • 目を動かすと強くなる目の奥の痛み
  • 化学薬品などが目に入ったことによる痛み

当院での検査と治療

鶴見区今福鶴見の大阪鶴見まつやま眼科では、「目が痛い」という症状で受診された場合、原因を特定するために以下のような検査を行います。

  • 問診:いつから、どのように痛むのか、他の症状はないかなどを詳しくお伺いします。
  • 視力検査・眼圧検査:目の基本的な機能を確認します。眼圧検査は緑内障の診断に不可欠です。
  • 細隙灯顕微鏡検査:顕微鏡を使って、角膜や結膜、まぶたの状態を詳細に観察し、傷や炎症、異物の有無などを確認します。
  • 眼底検査:瞳孔を開く目薬を使い、目の奥の網膜や視神経の状態を詳しく調べます。

これらの検査結果を総合的に判断し、原因となっている疾患を突き止め、それぞれに応じた治療(点眼薬の処方、異物の除去、内服薬の処方、レーザー治療や手術など)を行います。

まとめ:目の痛みは、自己判断せずに専門医へ

目の痛みの原因がいかに多岐にわたるか、そして中には失明につながる危険な病気が隠れていることをご理解いただけたでしょうか。

【この記事のポイント】

  • 目の痛みには、表面の「ゴロゴロ・チクチクした痛み」と、奥の「ズキズキ・重い痛み」がある。
  • 特に、目の奥の痛みに頭痛や吐き気、視力低下を伴う場合は、緊急性が非常に高い
  • 原因はドライアイから急性緑内障発作まで様々で、自己判断は極めて危険
  • 正しい診断と治療のためには、眼科での精密な検査が不可欠。

たとえ軽い痛みだと思っても、それは体からの重要な警告です。安易に市販薬で済ませたり、我慢したりせず、目の痛みを感じたらできるだけ早く眼科専門医にご相談ください。正確な診断こそが、あなたの目の健康と大切な視力を守るための第一歩です。

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