「80代・90代でも白内障手術を受けられる?」
「高齢なので、手術の負担や合併症が心配」
「持病や物忘れがあっても日帰り手術はできる?」
白内障手術を勧められても、年齢が高いことを理由に、患者さんご本人やご家族が不安を感じることは少なくありません。
白内障手術を受けられるかどうかは、年齢だけで一律に決まるものではありません。80代・90代の方でも、白内障の状態、全身の健康状態、手術中の姿勢、術後の点眼や通院が可能かなどを確認し、手術が適していると判断されれば受けられることがあります。
一方、年齢にかかわらず、白内障が非常に進行している場合、ほかの目の病気がある場合、全身状態や手術中の体勢に問題がある場合には、より専門的な設備や入院管理が可能な医療機関での手術が適していることもあります。
この記事では、高齢者の白内障手術に年齢の上限があるのか、手術前に確認する目と全身の状態、手術を検討する時期、ご家族にお願いしたいサポートについて解説します。

白内障手術が適しているかは、年齢だけでなく、白内障の進行度、目と全身の状態、日常生活への影響、術後の点眼・通院が可能かなどを確認して判断します。
80代・90代の方、持病や物忘れがあり心配な方も、まずは現在の状態をご相談ください。ご家族と一緒に受診していただけます。
\ 24時間かんたん予約 /
白内障手術に「何歳まで」という一律の年齢上限はありません
白内障手術は、年齢だけを基準に「何歳以上は受けられない」と決める手術ではありません。
実際には、次の項目を総合的に確認して、日帰り手術が可能か、手術によって期待できる見え方はどの程度か、ほかの医療機関での手術が適しているかを判断します。
- 白内障の進行度と手術の難しさ
- 角膜・網膜・視神経など、白内障以外の目の状態
- 高血圧・糖尿病・心臓病・呼吸器疾患などの全身状態
- 手術中に仰向けの姿勢を保てるか
- 手術中の説明を理解し、目や体を大きく動かさずにいられるか
- 術後の点眼と定期通院を続けられるか
- ご家族や周囲の方から必要な支援を受けられるか
80代・90代でも手術を受けられることがあります
80代・90代であることだけを理由に、白内障手術ができないとは限りません。
目と全身の状態が安定しており、局所麻酔での手術に必要な姿勢や協力が可能で、術後の点眼・通院を行える場合には、日帰り手術を検討できることがあります。
反対に、年齢が比較的若くても、白内障が非常に進行している、角膜内皮細胞が少ない、網膜や視神経の病気がある、仰向けの姿勢を保てないなどの理由で、手術方法や手術を行う医療機関を慎重に検討することがあります。
年齢よりも、目・全身・生活環境を個別に確認します
「高齢者だから一律に危険」「何歳でも同じように手術できる」のどちらでもありません。
白内障手術で得られる見え方の改善と、手術による負担やリスクを患者さんごとに比較し、手術を受ける時期や方法を相談します。
高齢者の白内障手術前に確認すること

白内障の進行度と目の状態
白内障手術の難しさや、術後に期待できる見え方は、白内障の濁りだけでなく、目全体の状態によって異なります。
- 水晶体の濁り方・硬さ・進行度
- 水晶体を支えるチン小帯の状態
- 瞳孔が十分に開くか
- 角膜内皮細胞の状態
- 緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などの有無
- 過去の目の手術や外傷
白内障以外の目の病気があると、白内障手術を行っても期待したほど視力が改善しない場合があります。必要に応じて眼底検査やOCT検査などを行い、見えにくさの原因を確認します。

高血圧・糖尿病・心臓病などの持病
高血圧、糖尿病、心臓病、不整脈、脳血管疾患、呼吸器疾患などがあっても、状態が安定していれば白内障手術を受けられることがあります。
ただし、病気の状態や治療内容によっては、手術前にかかりつけ医へ確認したり、手術時期を調整したりすることがあります。
糖尿病がある方では、血糖の状態に加えて、糖尿病網膜症や黄斑浮腫がないかを確認します。白内障手術と網膜の治療について、順番や時期を検討する場合もあります。
服用中・使用中の薬
お薬手帳を持参し、内服薬、注射薬、点眼薬、貼付薬、サプリメントを含めて、使用しているものをお知らせください。
特に、血液を固まりにくくする薬、前立腺肥大症の治療薬、糖尿病の薬などは、手術前に確認が必要です。過去に使用していた薬についてもお聞きすることがあります。
薬を自己判断で中止すると、全身の病気に影響することがあります。必ず眼科医・処方医の指示に従ってください。
仰向けの姿勢と手術中の協力
白内障手術では、手術中に仰向けの姿勢を保ち、顔や目を大きく動かさないことが必要です。
腰痛、脊椎の病気、呼吸苦、咳、手の震え、パーキンソン病、閉所への強い不安などがある場合は、手術前にお伝えください。体勢の工夫や、手術を行う医療機関の選択を検討します。
認知機能・点眼・通院の管理
認知症や物忘れがあるからといって、直ちに白内障手術ができないわけではありません。
手術の説明をどの程度理解できるか、手術中に必要な協力ができるか、術後の点眼や通院を誰が支援するかを確認します。
点眼の種類・回数・使用期間は患者さんごとに異なります。ご本人だけでの管理が難しい場合は、ご家族、介護職の方、訪問看護などの支援を手術前に検討します。
ご家族や周囲の方のサポート
日帰り手術であっても、手術当日の移動、術後の点眼、受診日程の管理、異常時の連絡などに支援が必要になることがあります。
一人暮らしの方や、ご本人だけでは説明を覚えることが難しい方は、手術前の診察からご家族等に同席していただくと、術後の生活を準備しやすくなります。
高齢者だから特別に危険なのですか?

高齢であることだけで、すべての患者さんの手術リスクが同じように高くなるわけではありません。
年齢とともに持病や目の病気が増えたり、水晶体を支える組織が弱くなったりする可能性はありますが、実際のリスクは目と全身の状態によって異なります。
白内障手術に共通する主なリスク
白内障手術は広く行われている手術ですが、手術である以上、合併症の可能性をゼロにすることはできません。
- 感染や目の中の炎症
- 眼圧上昇
- 角膜のむくみ・角膜内皮細胞の減少
- 水晶体嚢の破損やチン小帯の問題
- 黄斑部のむくみ
- 網膜裂孔・網膜剥離
- 眼内レンズの位置ずれ
- 目標とした度数との差や、期待した見え方との差
- 手術後しばらくして生じる後発白内障
起こりやすさや重症度は患者さんごとに異なります。手術前に、特に注意が必要なリスクについて個別にご説明します。
手術が複雑になることがある目の状態
次のような状態があると、通常とは異なる器具や手術方法が必要になったり、手術時間が長くなったりすることがあります。
- 非常に進行し、硬くなった白内障
- 瞳孔が十分に開かない
- チン小帯が弱い、または一部が切れている
- 角膜内皮細胞が少ない
- 緑内障、網膜疾患、過去の硝子体手術などがある
- 目の外傷や炎症の既往がある
状態によっては、入院設備や、より専門的な手術設備のある医療機関での治療が適している場合があります。
日帰り手術と入院手術の考え方
当院では日帰り白内障手術を行っていますが、高齢者は必ず日帰り、または必ず入院というわけではありません。
全身状態が安定し、手術後に自宅で点眼・生活管理を行える方では、日帰り手術を検討できます。一方、一人での術後管理が難しい、全身状態の観察が必要、複雑な手術や全身麻酔が必要と考えられる場合には、入院設備のある医療機関が適していることがあります。
白内障手術を検討する時期
視力の数字だけでは決めません
白内障手術を受ける時期は、視力検査の数字だけで決めるものではありません。
同じ視力でも、運転をする方、細かな作業をする方、室内で過ごすことが多い方では、困り方が異なります。まぶしさや二重見えなど、視力表の数字に表れにくい症状も確認します。
歩行・服薬・家事など日常生活への影響を確認します
次のような場面で見えにくさがある場合は、白内障手術について相談する時期かもしれません。
- 階段・段差・足元が見えにくく、転倒が心配
- 薬の表示や飲み分けが見えにくい
- 料理、掃除、買い物などの家事がしにくい
- 新聞、読書、テレビ、スマートフォンが見えにくい
- 家族の顔や表情が分かりにくい
- 昼間や夜間の光を強くまぶしく感じる
- 眼鏡を合わせても必要な見え方が得られない
手術を先延ばしにしすぎる場合の注意点
白内障の進み方は患者さんごとに異なり、見え方に大きな支障がなければ経過をみることもあります。
ただし、白内障が非常に進行して水晶体が硬くなったり、水晶体を支える組織が弱くなったりすると、手術が複雑になる場合があります。また、加齢や病気によって全身状態や生活環境が変化し、以前より手術を受けにくくなることもあります。
すべての方が早く手術を受けるべきという意味ではありません。定期的に目の状態を確認し、現在の見え方と生活への影響を踏まえて、適切な時期を相談しましょう。
高齢者が白内障手術を受けることで期待できること

白内障が見えにくさの主な原因であれば、手術によって次のような改善が期待できます。
- かすみが軽くなり、明るく見える
- 色やコントラストを感じやすくなる
- 読書、テレビ、家事、趣味を行いやすくなる
- 足元や段差を確認しやすくなる
- 眼底が観察しやすくなり、網膜・視神経の病気を確認しやすくなる
ただし、白内障以外の目の病気がある場合は、手術後も見えにくさが残ることがあります。手術前に、どの程度の改善を期待できるかをご説明します。
白内障手術と認知機能について
見え方が改善すると、歩行、外出、読書、趣味、家族との交流など、日常生活の活動を続けやすくなることがあります。
白内障手術を受けた方で認知症の発症が少なかったという観察研究はありますが、白内障手術によって認知症を予防できると断定することはできません。
ご家族にお願いしたいサポート

手術前
- お薬手帳、持病、過去の手術歴を一緒に確認する
- ご本人が困っている見え方や生活場面を整理する
- 手術・眼内レンズ・術後生活の説明を一緒に聞く
- 点眼や通院を誰が支援するか決める
手術当日
- ご本人が車や自転車を運転しないよう、移動方法を準備する
- 帰宅後の過ごし方と、異常時の連絡方法を確認する
- 必要に応じて帰宅後も一人にならないよう調整する
手術後
- 点眼薬の種類・回数・時間を一緒に確認する
- 術後検診の日程を管理する
- 段差や物につまずかないよう、自宅の動線を整える
- 急な視力低下、強い痛み、充血の悪化などがないか確認する

当院での診察と手術前の確認
当院では、白内障手術を受けるかどうかを最初の受診で決める必要はありません。
まず、見え方のお困りごと、白内障の進行度、角膜・網膜・視神経の状態、持病、服用薬、手術中の姿勢、術後の生活環境などを確認します。
そのうえで、経過観察を続けるか、日帰り白内障手術を検討するか、ほかの医療機関での手術が適しているかをご説明します。
ご本人だけでは持病や薬、生活状況を説明することが難しい場合は、ご家族や支援者の方と一緒に受診してください。

まとめ
- 白内障手術は、年齢だけで決まる一律の上限はありません
- 80代・90代でも、目と全身の状態によって手術を検討できることがあります
- 持病、服用薬、手術中の姿勢、認知機能、術後管理を個別に確認します
- 日帰り手術と入院手術のどちらが適するかは、患者さんごとに異なります
- 手術時期は視力だけでなく、歩行・服薬・家事など生活への影響を踏まえて判断します
- ご家族等による点眼・通院・移動の支援が重要になる場合があります
「高齢だから手術は無理かもしれない」「今すぐ手術を決めるのは不安」という方も、まずは現在の目と全身の状態を確認し、今後の方針を相談しましょう。
年齢、白内障の進行度、持病、服用薬、生活環境を確認し、経過観察でよいか、日帰り手術を検討できるかをご説明します。
患者さんご本人だけでなく、ご家族からのご相談も大切です。ご一緒にご来院ください。
\ 24時間かんたん予約 /
高齢者の白内障手術についてよくあるご質問
白内障手術は何歳まで受けられますか?
年齢だけで決まる一律の上限はありません。80代・90代でも、白内障の状態、全身状態、手術中の姿勢、術後の点眼・通院などを確認し、手術が適していると判断されれば受けられることがあります。
一方、年齢にかかわらず、複雑な手術や入院管理が必要な場合には、設備の整った医療機関での手術が適していることがあります。
80代・90代でも日帰り白内障手術はできますか?
目と全身の状態が安定しており、手術中に仰向けの姿勢を保てること、術後の点眼・通院を行えることなどを確認できれば、日帰り手術を検討できる場合があります。
全身状態の観察や入院管理が必要な方、複雑な手術が予想される方は、入院設備のある医療機関が適していることがあります。
高血圧や糖尿病があっても白内障手術を受けられますか?
高血圧や糖尿病があっても、病気の状態が安定していれば手術を受けられることがあります。
糖尿病の方では、血糖の状態だけでなく、糖尿病網膜症や黄斑浮腫の有無も確認します。必要に応じて、かかりつけ医と連携しながら手術時期を検討します。
認知症や物忘れがある場合でも手術できますか?
認知症や物忘れがあることだけで、手術ができないとは限りません。
手術の説明を理解できるか、手術中に姿勢を保てるか、術後の点眼と通院を誰が支援するかなどを確認します。ご家族や介護職の方のサポートを含めて、手術が可能かを個別に判断します。
一人暮らしでも日帰り白内障手術を受けられますか?
一人暮らしという理由だけで、日帰り手術ができないとは限りません。
ただし、手術当日の移動、帰宅後の生活、術後点眼、定期通院、異常時の連絡が可能かを確認します。必要な支援を準備できない場合には、入院手術を含めて別の方法が適していることがあります。
白内障手術を先延ばしにすると、手術が難しくなりますか?
白内障の進行速度は患者さんごとに異なり、すぐに手術を受ける必要がない場合もあります。
ただし、白内障が非常に進行して水晶体が硬くなったり、水晶体を支える組織が弱くなったりすると、手術が複雑になることがあります。定期的に状態を確認し、見え方と生活への影響を踏まえて適切な時期を相談してください。
監修:大阪鶴見まつやま眼科 院長 松山真弘
最終医学的確認日:2026年8月16日

