「視力はよいのに、緑内障と言われた」
「視野が欠けると、黒い穴のように見える?」
「片目ずつ確認して異常がなければ大丈夫?」
緑内障の初期症状は、「自覚症状がないことが多い」のが大きな特徴です。多くの開放隅角緑内障では、初期から中期まで中心の視力が保たれ、視野の変化にも気づかないことがあります。
視力が1.0あることや、健康診断の眼圧が一般的な正常範囲であることだけでは、緑内障を否定できません。一方、急に強い目の痛み、頭痛、吐き気、かすみ、充血などが現れる急性緑内障発作では、早急な受診が必要です。
この記事では、緑内障の初期の見え方、視野が欠けても気づきにくい理由、進行したときに起こり得る生活上の変化、セルフチェックの限界、受診目安を詳しく説明します。
健康診断で「視神経乳頭陥凹拡大」「緑内障疑い」「眼圧が高い」と指摘された方、血縁者に緑内障の方がいる方、片目ずつ見たときの左右差や視野の変化が気になる方は、「一般診療」でご予約ください。
健康診断の結果、紹介状、お薬手帳をお持ちの場合は、受診時にご持参ください。
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結論|多くの緑内障は、初期から中期まで自覚症状がほとんどありません

緑内障は、目から脳へ情報を伝える視神経が障害され、見える範囲である視野に変化が生じる病気です。日本人に多い正常眼圧緑内障を含む開放隅角緑内障では、病気がゆっくり進み、かなり進行するまで自覚症状がないことがあります。
一方、閉塞隅角緑内障の急性発作では、眼圧が急激に上昇し、強い目の痛みや頭痛、吐き気などが突然現れる場合があります。同じ「緑内障」でも、慢性の経過と急性発作では症状の出方が大きく異なります。
| 主な状態 | 症状の出方 | 受診の考え方 |
|---|---|---|
| 開放隅角緑内障 正常眼圧緑内障 | 初期から中期には自覚症状が乏しく、ゆっくり視野障害が進むことがあります | 症状を待たず、眼底・OCT・視野などの検査で確認します |
| 急性の隅角閉塞 | 強い眼痛、頭痛、吐き気、かすみ、虹の輪、充血などが突然現れることがあります | WEB予約や次回受診日を待たず、眼科・救急へ相談します |
視力と視野は別です|「よく見える」だけでは緑内障を否定できません
一般的な視力検査は、視野の中心で細かな形を見分ける力を測ります。緑内障で最初に変化しやすいのは、中心から少し離れた範囲を含む視野であることが多く、中心視力は長く保たれる場合があります。
| 項目 | 何を確認する検査か | 緑内障との関係 |
|---|---|---|
| 視力 | 中心で細かな文字や形を見分ける力 | 初期には良好なことがあり、視力だけでは否定できません |
| 視野 | 一点を見たまま周囲のどこまで見えるか、光を感じる感度 | 緑内障性の視野障害を確認する重要な検査です |
| 眼圧 | 目の中の圧力 | 治療や評価に重要ですが、正常範囲でも緑内障は起こります |
眼鏡をかけると視力がよく出る方や、運転免許の視力基準を満たしている方でも、視野検査やOCTで緑内障の変化が見つかることがあります。
なぜ視野が欠けても、自分では気づきにくいのですか?
片方の目の変化を、もう片方の目が補うため
私たちは普段、両目で見ています。片方の目に見えにくい部分があっても、もう片方の目がその範囲を見ていれば、日常生活では異常を自覚しにくくなります。
両眼で見たときに問題がないように感じても、片目ずつ確認すると左右差に気づく場合があります。ただし、片目ずつ見て異常を感じなかったとしても、初期緑内障を否定することはできません。
変化がゆっくりで、脳が周囲の情報を補うため
慢性緑内障の視野変化は、急に大きく欠けるのではなく、少しずつ進むことがあります。脳は周囲の色や形、反対側の目から入る情報を使って見え方を補うため、視野検査で異常があっても「黒い穴が見える」とは限りません。
緑内障の説明画像では、視野欠損を黒く塗って表現することがありますが、実際の自覚は人によって異なります。ぼんやりする、物が消えたように感じる、見落としが増えるなど、明確な黒い影としては気づかない場合があります。
中心の見え方が保たれていることがあるため
文章の一文字や視力表の記号を見る中心部分が保たれている間は、「よく見えている」と感じやすくなります。視野障害が中心付近へ及ぶと、視力低下や読みにくさを自覚することがありますが、その時点では病気が進行している可能性があります。
進行度別|緑内障の見え方と生活上の変化

緑内障の進み方、視野欠損の位置、片眼か両眼かによって、自覚症状は異なります。次の表は一般的な目安であり、すべての方が同じ順序で症状を感じるわけではありません。
| 段階 | 検査で確認されること | 自覚・生活上の変化 |
|---|---|---|
| 初期 | 眼底やOCTで視神経・網膜神経線維の変化、視野検査で小さな感度低下を認める場合があります | 自覚症状がないことが多く、視力も良好な場合があります |
| 中期 | 視野の見えにくい範囲が広がったり、複数の欠損がつながったりします | 文字の読み飛ばし、片側の物の見落とし、段差への気づきにくさなどが現れる場合がありますが、自覚がない方もいます |
| 後期 | 残っている視野が限られ、中心付近へ障害が及ぶことがあります | 見える範囲が狭い、歩行や階段、読書、運転が難しい、視力も低下するなど、日常生活への影響が大きくなります |
「初期だから何年は大丈夫」「視野が少し欠けただけだから治療は不要」と一律には判断できません。診断時の病期だけでなく、視野とOCTの変化の速さ、眼圧、年齢、片眼か両眼かなどを確認して治療方針を決めます。

進行した緑内障で気づくことがある日常生活の変化
読書・書類・パソコン
文章の一部を読み飛ばす、行の先頭や末尾を見落とす、表の項目を探しにくいなどの変化が起こる場合があります。老眼、白内障、黄斑疾患、眼精疲労でも似た症状が起こるため、症状だけで緑内障とは判断できません。
歩行・階段・家の中
片側の家具や人にぶつかる、足元の段差や階段を見落とす、床に置かれた物に気づきにくいなどの変化が現れることがあります。片側だけで繰り返す場合や、転倒が増えた場合は、目の検査も検討しましょう。
車・自転車の運転
視野障害が進むと、歩行者、自転車、信号、横から来る車などへの気づきが遅れる可能性があります。緑内障と診断されたことだけで直ちに運転禁止になるわけではありませんが、視野の状態や免許の基準、主治医の説明を踏まえて個別に判断します。
運転中の見落としが気になる方は、運転を続けてよいか自己判断せず、視野検査の結果についてご相談ください。
「ゆがむ」「かすむ」「黒い点が見える」は緑内障の症状ですか?
これらの症状が緑内障だけを意味するわけではありません。緑内障の検索でよく見かける症状でも、網膜、黄斑、水晶体、角膜、硝子体など、別の病気が原因となることがあります。
| 症状 | 考え方 | 受診の目安 |
|---|---|---|
| 直線がゆがむ 中心がゆがむ | 黄斑前膜、加齢黄斑変性など黄斑部の病気でも起こります。緑内障の典型的な初期症状とは限りません | 片目ずつ確認し、急な変化や左右差があれば早めに眼科へ |
| 全体がかすむ まぶしい | 白内障、ドライアイ、角膜疾患などでも起こります | 続く場合、眼鏡を変えても改善しない場合は眼科へ |
| 黒い点・糸くず・影が動く | 飛蚊症や硝子体・網膜の病気が関係する場合があります | 急に増えた、光が走る、カーテン状の影がある場合は早めに受診 |
| 突然片目が 見えにくい | 網膜血管障害、網膜剥離、視神経疾患など緊急性のある病気もあります | 突然の変化は、緑内障だと思い込まず早急に医療機関へ |
見え方だけで原因を決めることはできません。視力、眼圧、眼底、OCT、視野などを確認し、どこに異常があるかを調べます。
緑内障と白内障では、見え方がどのように違いますか?
緑内障と白内障は、どちらも年齢とともに増え、同時にみられることがあります。ただし、障害される場所と典型的な見え方は異なります。
| 項目 | 緑内障 | 白内障 |
|---|---|---|
| 主に障害 される場所 | 視神経 | 水晶体 |
| 初期の自覚 | 症状がないことが多い | かすみ、まぶしさ、眼鏡を変えても見えにくいなどを感じる場合があります |
| 見え方 | 視野の一部が見えにくくなり、進行すると見える範囲が狭くなることがあります | 全体がかすむ、光がにじむ、色が分かりにくいなどが起こります |
| 治療の目的 | 眼圧を下げ、視野障害の進行を抑える | 日常生活に支障がある場合、濁った水晶体を手術で眼内レンズへ置き換える |
症状だけでは区別できず、緑内障と白内障の両方が見つかることもあります。

急性緑内障発作の症状は、早急な受診が必要です

突然、次の症状が重なって現れた場合
- 強い目の痛み
- 強い頭痛・眉の周囲の痛み
- 吐き気・嘔吐
- 急なかすみ・視力低下
- 光の周囲に虹の輪が見える
- 強い充血
急性の隅角閉塞の可能性があります。WEB予約や翌日まで待たず、眼科または救急医療機関へご相談ください。
頭痛や吐き気が強いと、目の病気とは思わず内科的な病気を疑うことがあります。急な見えにくさ、目の痛み、充血を伴う場合は、目の症状があることを医療機関へお伝えください。
急性発作を起こす前の狭隅角・閉塞隅角では、自覚症状がないこともあります。眼科では隅角の状態を確認し、必要に応じて発作を予防する治療を検討します。
緑内障のセルフチェックで分かること・分からないこと
片目ずつ見え方を確認すること
片方の目を隠し、同じ景色や文章を左右それぞれで見ると、大きな左右差に気づく場合があります。見えにくい場所、物の見落とし、急な視力差があれば眼科を受診してください。
ただし、初期の視野異常は本人が認識できないことが多く、毎日・毎月のセルフチェックを行っていても、眼科の検査の代わりにはなりません。
アムスラーグリッド
アムスラーグリッドは、主に黄斑部のゆがみや中心の見え方を確認する方法です。緑内障の視野検査や早期診断の代わりにはなりません。
スマートフォン・パソコンの簡易検査
画面の大きさ、明るさ、見る距離、視線の動き、周囲の環境などに結果が影響されます。簡易検査で異常が出た場合は受診のきっかけになりますが、異常がなかった場合も緑内障を否定できません。
緑内障の見え方シミュレーション画像
視野欠損の画像や動画は、病気を理解するための参考資料です。個々の患者さんの見え方を正確に再現するものではなく、画像と自分の見え方が違うからといって緑内障ではないとは判断できません。
症状がなくても、緑内障の検査をおすすめする方
- 40歳以上で、眼底を含む目の検査を長く受けていない
- 血縁者に緑内障の方がいる
- 強い近視がある
- 健康診断で視神経乳頭陥凹拡大、緑内障疑い、高眼圧を指摘された
- ステロイド薬を点眼・内服・吸入・注射などで使用している
- 目の外傷、炎症、手術歴がある
- 左右の目で見え方や視野に差を感じる
- 緑内障と診断されているが、点眼や定期検査が途切れている
若い年代でも緑内障になることはあります。年齢だけで否定せず、危険因子や健診結果がある場合はご相談ください。


眼科で行う緑内障の検査

緑内障は、眼圧だけ、OCTだけ、視野検査だけで診断する病気ではありません。視神経の形と構造、視野の状態、隅角、眼圧などを組み合わせて判断します。
| 検査 | 主に確認すること | 注意点 |
|---|---|---|
| 視力・屈折検査 | 中心の見え方、眼鏡で矯正できるかを確認します | 視力がよくても緑内障を否定できません |
| 眼圧検査 | 目の中の圧力を測ります | 日内変動があり、正常眼圧緑内障もあります |
| 細隙灯顕微鏡検査 | 角膜、前房、虹彩、水晶体などを確認します | 炎症、角膜、白内障など他の病気も確認します |
| 隅角検査 | 房水の出口が開いているか、狭いか、閉じているかを確認します | 病型や薬剤上の注意、急性発作の危険性の評価に重要です |
| 眼底検査・ 眼底写真 | 視神経乳頭の陥凹、乳頭出血、網膜神経線維の変化を確認します | 生まれつきの形や近視の影響も考慮します |
| OCT | 網膜神経線維層や網膜神経節細胞の厚さを画像で測ります | 画像だけで確定せず、眼底・視野等と合わせて判断します |
| 視野検査 | 光を感じる感度と、見えにくい範囲を測ります | 体調や慣れの影響があり、必要に応じて繰り返します |
| 角膜厚など | 眼圧の解釈や危険因子の評価に用いる場合があります | 必要性は目の状態によって異なります |
初回の結果が境界域である場合や、視野検査に慣れていない場合は、一度の結果だけで判断せず再検査を行うことがあります。経過観察では、同じ検査を繰り返し、時間とともに変化しているかを確認します。
緑内障が心配なときの受診目安

| 受診の緊急度 | 該当する状況 |
|---|---|
| 早急に眼科・救急へ | 突然の強い眼痛、頭痛、吐き気・嘔吐、急なかすみ、虹の輪、強い充血が重なっている |
| 早めに一般診療へ | 片目ずつ見た左右差、視野の見落とし、物にぶつかる、段差に気づきにくいなどの変化が続く |
| 症状がなくても 一般診療へ | 健診で緑内障疑い・高眼圧を指摘、家族歴、強度近視、ステロイド使用などがある |
| 治療中の方は 予定を待たず相談 | 急な見え方の変化、強い副作用、点眼ができない、通院が途切れている |
緑内障と診断された後も、症状だけで治療効果を判断しません
緑内障治療の目的は、眼圧を下げ、現在残っている視野をできるだけ長く保つことです。点眼を始めても見え方が急に良くなるとは限らず、自覚症状がないまま治療を続ける方も多くいます。
「見え方が変わらないから目薬は不要」「症状がないから治った」と自己判断して点眼や通院を中止すると、進行を見逃す可能性があります。眼圧、眼底、OCT、視野の経過を確認して治療を調整します。


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まとめ|緑内障は「症状がない時期」に見つけることが大切です

多くの緑内障は、初期から中期に自覚症状がほとんどありません。視力がよい、眼圧が正常、セルフチェックで異常がないという理由だけでは、緑内障を否定できません。
視野の変化を自覚した時点では病気が進行している場合があります。健診で指摘された方、家族歴や強い近視などの危険因子がある方は、症状を待たずに眼科で検査を受けましょう。
突然の強い目の痛み、頭痛、吐き気、かすみ、虹の輪、充血が重なって現れた場合は、急性緑内障発作の可能性があるため、早急な受診が必要です。
大阪鶴見まつやま眼科では、目の状態に応じて眼圧、眼底、OCT、視野、隅角などを確認し、緑内障の有無、経過観察や治療の必要性をご説明します。
健康診断の結果、紹介状、お薬手帳をお持ちの方は、受診時にご持参ください。
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緑内障の初期症状・見え方についてよくあるご質問
緑内障の初期症状はありますか?
多くの開放隅角緑内障では、初期から中期まで自覚症状がほとんどありません。視野検査やOCTで変化が見つかっても、本人は普段どおり見えていると感じることがあります。
視力が1.0あれば、緑内障ではありませんか?
視力が良好でも緑内障の可能性はあります。視力は中心で細かな形を見る力で、緑内障では中心視力が保たれたまま視野に変化が起こる場合があります。
眼圧が正常なら、緑内障ではありませんか?
日本人には、眼圧が一般的な正常範囲でも発症する正常眼圧緑内障が多くみられます。眼圧だけでなく、眼底、OCT、視野、隅角などを組み合わせて判断します。
緑内障で視野が欠けると、黒く見えますか?
必ずしも黒い穴として自覚するわけではありません。両目と脳が周囲の情報を補うため、物を見落とす、ぼんやりする、見えない部分に気づかないなどの形で現れることがあります。
片目ずつ見れば、緑内障をセルフチェックできますか?
大きな左右差や急な変化に気づくことはありますが、異常がなければ緑内障ではないとは言えません。セルフチェックは眼底、OCT、視野などの眼科検査の代わりにはなりません。
アムスラーグリッドやスマホの画像で緑内障を確認できますか?
アムスラーグリッドは主に黄斑部のゆがみを確認する方法で、緑内障の早期診断には適していません。スマートフォンやパソコンの簡易検査も、診断や除外には使用できません。
緑内障で目が痛くなりますか?
多くの慢性緑内障では痛みはありません。突然の強い目の痛み、頭痛、吐き気、かすみ、虹の輪、充血などがある場合は、急性緑内障発作の可能性があるため早急な受診が必要です。
緑内障と白内障の見え方はどう違いますか?
緑内障は初期に自覚症状が乏しく、進行すると視野の一部の見落としや見える範囲の狭まりが起こることがあります。白内障では、かすみ、まぶしさ、全体的なぼやけ、色の見え方の変化などがみられます。ただし症状だけでは区別できません。
健康診断で視神経乳頭陥凹拡大と言われました。症状がなくても受診が必要ですか?
眼科で確認することをおすすめします。指摘だけで緑内障と確定するわけではありませんが、眼圧、眼底、OCT、視野などを行い、緑内障か、生まれつき陥凹が大きいのか、経過観察が必要かを判断します。
監修:大阪鶴見まつやま眼科 院長 松山真弘
最終医学的確認日:2026年8月19日

