目つき・顔つきが変わる?バセドウ病とは
バセドウ病は甲状腺機能亢進症の一種で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで全身倦怠感や動機・息切れ、手足の震えなど様々な症状が現れます。
バセドウ病の特徴的な症状の1つに眼球突出があり、バセドウ病の方の3割程度に症状がみられるとされています。
バセドウ病の症状
- 疲れやすい、だるい
- 体重減少または体重増加
- 目つきがきつい
- 目が出てくる(眼球突出)
- 二重(奥二重)になった
- 目の下のクマ・たるみができた
- 動悸、息切れ、頻脈
- 手足の震え
- 月経不順、無月経、不妊
- コレステロール低下、血糖・血圧上昇
- 肝障害 など
バセドウ病の原因
バセドウ病の原因は免疫機能の異常で、本来、外部から侵入してくる細菌やウイルスから身体を守ってくれるはずの抗体が、何らかの原因で自己抗体を作り、自分自身を攻撃するようになります。
自己抗体がつくられる原因は明らかになっていません。
バセドウ病で発症する目の症状
バセドウ病による目の病気は大きく分けて、バセドウ病そのものが原因で目に現れる原発性症状と、いったん生じた目の異常が原因となり続発的に現れる続発性症状があります。
原発性症状
眼瞼後退
瞼を上げ下げする筋肉が収縮することで、瞼が吊り上がったような状態になります。
特に上瞼で起こります。
眼球突出
眼球を動かす筋肉(外眼筋)やそのまわりにある脂肪(眼窩脂肪)で炎症が起こり、腫れのために眼窩内圧が高まって眼球が前方へ押し出されます。
続発性症状
まぶた・まつげの異常
バセドウ病の続発性症状として、瞼の腫れや逆まつ毛のような症状が現れます。
充血・むくみ
眼窩内圧の上昇により目の充血やむくみが生じます。
複視
眼球を動かす筋肉(外眼筋)で腫れが起こり、眼球の動きが悪くなることで、ものが二重に見える複視が起こります。
ドライアイ
眼瞼後退により瞼がしっかり閉じられなくなるため、眼球が乾燥してドライアイが起こります。
眼精疲労
複視、ドライアイ、視力低下などの症状が軽い場合、ただの眼精疲労のように感じられます。
視神経障害
眼窩内圧が高まることで、視神経が圧迫されて障害を受けます。
視神経が障害されることで、視力低下、視野欠損などの症状が現れます。
目が出る・目の下にクマができる原因
バセドウ病の特徴的な症状に眼球突出があり、その初期症状として目の下にクマができる場合があります。
またバセドウ病により眼窩脂肪が増加し、それがクマのように見えることもあります。
バセドウ病で現れる目の症状の検査
眼球突出度
眼窩の骨から角膜までの距離を測定して、眼球突出の度合いを調べます。
10~15mmを超える場合、眼球突出が起こっていると診断されます。
眼球運動
バセドウ病の症状として複視が起こっていないか確認します。
角膜・結膜
角膜・結膜で異常が起こっていないか、またドライアイになっていないかなどを確認します。
涙腺機能
涙の分泌量を測定して、涙腺機能を確認します。
視力・視野・眼圧
視力検査や視野検査、眼圧検査などの眼科の基本的な検査を行います。
画像検査
CT・MRIなどで眼窩を撮影して状態を確認します。
バセドウ病による目の治療方法
眼科ではバセドウ病の目の症状に対して次のような治療を行います。
原発性症状への治療
平滑筋の働きを抑えるボツリヌス注射
バセドウ病では、過剰に分泌された甲状腺ホルモンが平滑筋を刺激し、それにより瞼を開閉する筋肉が収縮してしまうため、平滑筋の働きを抑制するためにαアルファ遮断薬の点眼を点眼したり、筋肉を緩めるためにボツリヌス注射を行ったりします。
眼窩組織の炎症を抑える
眼窩組織の炎症を抑えるために、次のような治療が行われます。
薬物療法(抗炎症薬)
ステロイド薬の点眼・内服・注射により、眼窩組織の炎症を抑えます。
放射線治療
少量の放射線をあててリンパ球を破壊し、炎症を鎮静させます。
眼窩減圧手術
眼窩の骨を一部だけ削り、内部のスペースを広げることで内圧を減圧します。
続発性症状への治療
瞼・まつ毛の異常に対しては瞼の筋肉を伸長させる手術、充血・むくみ、ドライアイにはそれぞれの症状に応じて適切な治療薬を点眼します。
複視に対しては、手術により外眼筋の位置を調整して改善をはかります。