緑内障

緑内障とは?症状は

緑内障とは?症状は

緑内障は、眼圧の上昇により視神経(目から入ってきた情報を脳へ伝える神経)が障害を受け、視野が狭くなったり、一部分が見えなくなる病気です。
症状の進行は緩やかで、気づかないうちに視野の狭窄や欠損が進んでいきます。
また片方の目で症状が進行することが多いため、見え方の異変に気づけずに発見が遅れることがよくあります。
視神経の障害は回復させることが困難であり、眼圧を下げることで進行を遅らせることができ、早期発見・早期治療が重要となります。
緑内障は、日本の中途失明原因第1位であり、眼科的に最も重要な疾患の1つです。

このような症状はありませんか?

緑内障の原因

緑内障のしくみの全ては解明されておらず、緑内障のはっきりとした原因はわかっていませんが、眼圧の上昇によって起こるとされています。
眼圧とは眼の中の圧力で、これにより眼球は球状を保っています。房水と呼ばれる目の中で産生される液体により、一定の圧力になっています。
眼圧が高い状態が続くと視神経が障害され、目から入ってきた情報を脳へ伝達する機能が低下して、視野が狭くなったり、欠けたりする視野障害が現れます。
どのぐらいの眼圧で視神経が障害されるかは人によって違います。

眼圧が上昇する仕組みについて

正常な眼圧は10~20mmHgで、これを大幅に超える眼圧が続くと、視神経が障害されるリスクが高まります。
房水の産生と排出がアンバランスになると眼圧が上昇し、視神経が障害されます。
なお、眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず、緑内障と同じような症状が起こる正常眼圧緑内障というものもあります。日本人では正常眼圧緑内障が最も多いとされています。

緑内障の種類

緑内障はその原因に応じて次のような種類に分けられます。
まずは大きく原発緑内障、続発緑内障、小児緑内障に分類されます。

原発緑内障

眼圧上昇の原因が不明な緑内障を原発緑内障といいます。原発緑内障は、原発開放隅角緑内障、原発閉塞隅角緑内障と前駆病変に分類されます。

原発開放隅角緑内障

原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障が含まれます。
正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲内(10~20mmHg)であるにもかかわらず、視野狭窄・欠損などの症状が現れます。日本人の緑内障の約7割がこれに該当し、一番多い緑内障とされています。

原発閉塞隅角緑内障と前駆病変

原発閉塞隅角緑内障、原発閉塞隅角症、原発閉塞隅角症疑いが含まれます。

続発緑内障

他の眼疾患、全身疾患、あるいは薬物の副作用が原因で発症するものを続発緑内障と言います。
糖尿病や白内障、ぶどう膜炎などや外傷性の病気が、原因として挙げられます。他にも、ステロイド点眼液を長期に使用することで、眼圧が上昇する可能性もあります。続発緑内障も開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に分類されます。

続発開放隅角緑内障

続発開放隅角緑内障とは、他の眼疾患、全身疾患、あるいは薬物の副作用が原因で発症する緑内障で、隅角が塞がっていない開放隅角緑内障です。表的な続発開放隅角緑内障としては、ぶどう膜炎続発緑内障、落屑緑内障、ステロイド緑内障などが挙げられます。

続発閉塞隅角緑内障

続発閉塞隅角緑内障とは、他の眼疾患、全身疾患、あるいは薬物の副作用が原因で発症する緑内障で、隅角が塞がってしまい、房水の流れが障害される閉塞隅角緑内障です。新生血管により眼圧上昇が生じる血管新生緑内障が進行し、続発閉塞隅角緑内障となることがあります。

小児緑内障

子どもが緑内障を発症する小児緑内障は、生まれた直後や生後早期から発症する場合や、成長と共に徐々に緑内障を発症するケースがあります。
また、目の形成異常や他の病気に関連する続発小児緑内障(続発緑内障の小児版です)もあります。

緑内障はじわじわ知らない間に視野が欠けてくるため、早期発見・早期治療が重要

緑内障の多くは自覚症状がないまま進行していき、緩やかに視野が狭くなったり、欠けたりしていく、異常に気づけないことが多いです。
また片方の目で症状が現れても、もう片方の目が補ってしまうため、発見が遅れる傾向にあります。

緑内障により視神経が障害を受けると、元の状態に戻すことはできません。
そのため、緑内障の治療では視野障害の進行を抑制することが目的となりますので、緑内障を早期に発見し、早期に治療を開始することが重要です。

緑内障の検査

緑内障とは、眼圧が上がることにより視神経が傷んでその結果として視野異常が生じる病気です。そのため、診断・治療には必要な検査は、①眼圧検査、②隅角検査、③視神経の検査(眼底検査)、④視野検査ということになります。

1.眼圧検査

緑内障の診断に眼圧検査は欠かすことのできない検査です。眼圧測定の方法には一般的には眼球表面に空気を当てて眼圧を測定する非接触型眼圧計が用いられますが、緑内障診療においては臨床的に最も精度が高いとされるゴールドマン圧平眼圧計が使用されます。当院では両方の検査機器を導入しています。

2.隅角検査

隅角検査は緑内障の診断に必要不可欠な検査です。閉塞か開放か、新生血管や癒着、結節ながないかなど、ほかのう疾患を疑う所見がないか確認をします。点眼麻酔を実施した後、専用のコンタクトレンズを使って隅角の状態を調べます。

3.眼底検査

視神経乳頭を観察し、緑内障を疑うことが日常の診療では必要となります。眼底検査で視神経乳頭陥凹や網膜視神経繊維層欠損の程度を確認します。

4.視野検査

視野の範囲を調べる検査で、視野の欠損の有無・範囲を確認することで、緑内障の進行度を判定します。

緑内障の治療法

残念ながら緑内障により障害された視野が元に戻ることはありません。
そのため、緑内障の治療では視野障害を進行させないように、眼圧を下降させコントロールすることが目的となります。
治療は基本的にまずは点眼治療を行います。眼圧下降が不十分であり、視野障害が進行する場合はレーザー治療や手術治療が必要になります。

点眼薬

眼圧を下げるために点眼薬を使用します。
房水の産生を抑制するものや、房水の流出を促進するものなどを使用し、必要に応じて複数の点眼薬を併用します。

レーザー治療

レーザー治療では、以前はレーザー治療といえば閉塞隅角緑内障で虹彩に穴を開けるレーザー虹彩切開術でしたが、最近では線維柱帯にレーザーを照射することで房水の流れをよくする選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty:SLT)が行われるようになりました。

レーザー虹彩切開術

レーザーで虹彩部分に小さな穴を開けて、新たに房水の流出経路を作る方法です。
術後、少しかすんで見える場合がありますが、通常は数日程度で解消されます。

選択的レーザー線維柱帯形成術

初期の原発開放隅角緑内障のはじめの治療として緑内障点眼ではなく、選択的レーザー線維柱帯形成術(selective laser trabeculoplasty:SLT)を行うこともあります。
房水の流水経路である線維柱帯に特殊な波長のレーザーを照射して、線維柱帯における房水の流出を促進して眼圧を下げる方法です。点眼治療では十分な効果が得られなかった方、お仕事が忙しくて点眼を忘れてしまいがちな方、点眼治療の副作用が強く現れている方などに適しています。

マイクロパルス線維柱帯形成術

選択的レーザー線維柱帯形成術をマイクロパルス光凝固(MLT)で行う方法では、マイクロパルスレーザーを線維柱帯に照射することにより、線維柱帯細胞を破壊することなく眼圧下降が得られる新しい治療法です。

マイクロパルス波経強膜毛様体光凝固術

緑内障の治療のために、眼圧上昇の原因となる房水産生と流出に対して、毛様体にレーザー光凝固を行う事で、房水の産生を抑制させたり、房水流出を促す効果を期待して実施する治療です。

手術

緑内障に対して次のような手術を行います。
患者様の状態に合わせて、適切な方法を選択し実施いたします。

線維柱帯切開術(流出路再建術)

線維柱帯切開術は、眼圧を下げるために線維柱帯を切開して、房水の流れる量を増やす手術です。房水はおもに隅角にある線維柱帯を通って目の外へでていきますが、線維柱帯を切り、流出抵抗を減らすことで、房水の流れをよくします。

線維柱帯切除術(濾過手術)

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)は、眼圧を下げるために白目に小さな穴を開けて、白目のいちばん外側にある結膜とその内側にある強膜の間に、房水が流れる新しい別の道を作る手術です。房水が流れる別の道を作った結果、濾過胞という結膜の膨らみができます。線維柱帯切開術を行っても十分な眼圧下降効果が得られない場合や、眼圧を10mmHg前後でコントロールする際に行われる手術です。
2011年には、エクスプレスというインプラント(人工物)が厚生労働省の認可を受けました。エクスプレスは、線維柱帯切除術と比べて、眼内への挿入が容易であること、流出路の大きさが標準化できること、虹彩切除が不要であることが利点とされています。

チューブシャント手術(バルベルトインプラント)

新しい緑内障の手術で、眼内にインプラント(人工物)を挿入することで房水の流出経路を作り、房水の流出を促進します。 
2種類のチューブとプレートからなるインプラントを使用し、前房腔・硝子体腔に挿入したシリコン製のチューブが、房水が眼内から外へ流れ出るようにします。
そして強膜に固定されたプレートは、房水を吸収して眼圧の低下を促します。
2012年より保険適用となっています。

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