白内障の原因とは?加齢や生活習慣など5つの要因を医師が解説

白内障になりやすい人って?原因と発症しやすい年齢・予防策も紹介

白内障は、年齢を重ねると誰にでも起こりうる、とても身近な目の病気です。最近、視界がかすむ、ぼやける、あるいは光がまぶしく感じることはありませんか?それはもしかしたら、白内障のサインかもしれません。「年のせい」と諦めてしまう前に、その原因や対策について知ることで、目の健康を守り、快適な毎日を長く続けることができます。この記事では、白内障の主な原因として最も多い加齢はもちろん、日々の生活習慣、他の病気の影響、さらには薬の副作用や目の外傷など、多岐にわたる要因を医師が詳しく解説します。白内障の症状や予防法、そして最新の治療法についても深く理解し、ご自身の状況と照らし合わせながら、目の健康について考えるきっかけにしてください。

目次

白内障とは?水晶体が濁って見えにくくなる目の病気

白内障とは?

私たちの目は、カメラの仕組みとよく似ています。目に入ってきた光をフィルムに当たる「網膜」に正確に映し出すために、カメラの「レンズ」の役割を果たすのが、目の中にある「水晶体」です。この水晶体は、透明で弾力性のある組織でできており、光の量を調整したり、ピントを合わせたりする重要な働きをしています。

白内障とは、この水晶体が何らかの原因によって白く濁ってしまう病気です。透明であるはずのレンズが濁ることで、光が網膜までうまく届かなくなったり、光が乱反射したりするようになります。その結果、「視界が全体的にかすんで見える」「ものがぼやけて二重に見える」「光が異常にまぶしく感じる」といった様々な症状が現れて、見え方に不自由を感じるようになります。

白内障による見え方の変化は、ゆっくりと進行することが多いため、初期のうちは「少し目が疲れているだけ」「老眼が進んだかな」と感じて、見過ごしてしまうことも少なくありません。しかし、進行すると日常生活に大きな支障をきたす可能性もあるため、早期に異変に気づき、適切な対処をすることが大切です。

白内障の主な5つの原因

白内障の原因

白内障は一つの原因だけで発症するわけではなく、複数の要因が複雑に絡み合って引き起こされることが多い病気です。特に、その発症に深く関わるのが、目の老化現象ともいえる「加齢」です。しかし、加齢以外にも、日々の「生活習慣」や「他の病気や合併症」、時には「薬の副作用や目の外傷」によって引き起こされるケースもあります。また、ごく稀に「その他の要因」によって発症することもあります。このセクションでは、白内障の主な5つの原因を概観し、それぞれの要因がどのように白内障の発生に影響を与えるのかを、次の章から詳しく見ていきます。

原因1:加齢(加齢性白内障)

白内障の最も一般的な原因は、加齢です。私たちの目のレンズにあたる「水晶体」は、加齢とともに誰にでも濁りが生じます。このタイプの白内障は「加齢性白内障」と呼ばれ、白髪や肌のシワと同じように、体の自然な老化現象の一つとして考えられています。

早い方では40代から水晶体の濁りが始まり、年齢を重ねるごとに有病率は上昇していきます。この後のセクションでは、なぜ加齢によって水晶体が濁るのかという具体的なメカニズムと、年齢ごとの有病率について詳しく解説していきます。

なぜ加齢で水晶体は濁るのか?タンパク質の変性と酸化ストレス

加齢によって水晶体が濁る主な理由は、水晶体の主成分である「クリスタリン」というタンパク質の変化にあります。このタンパク質は、長年にわたる紫外線への曝露や、体内で新陳代謝の過程で発生する「酸化ストレス」と呼ばれるダメージによって、徐々に変性していきます。

このタンパク質の変性は、生卵の白身が熱で白く固まる現象に似ています。透明だった白身が熱によって不透明に変化するように、水晶体のタンパク質も酸化ストレスなどによって変性すると白く濁ってしまうのです。この「酸化ストレス」は、白内障の進行を考える上で非常に重要なキーワードとなります。

80歳以上ではほとんどの人が発症する

加齢性白内障は、年齢が上がるにつれてその有病率が著しく上昇します。一般的に、50代では約半数の方が、60代では70〜80%の方が白内障を発症すると言われています。さらに、80歳以上になると、ほとんどすべての方が何らかの白内障を抱えているというデータもあります。

このことからも分かるように、白内障は決して特別な病気ではなく、高齢になれば誰でも発症する可能性が高い、ごく一般的な目の疾患です。そのため、目の見え方に変化を感じたら、「年のせい」と諦めずに、一度眼科を受診することが大切です。

原因2:生活習慣による影響

白内障の原因は加齢だけではありません。日々の生活習慣が、白内障のリスクを高めたり、発症を早めたりする可能性があることが分かっています。特に、水晶体(目のレンズ)の健康を損なう「酸化ストレス」を促進する要因として、「紫外線」「喫煙」「食生活の乱れ」の3つが挙げられます。これらの生活習慣が、どのように水晶体に影響を与え、白内障を引き起こすのかを、このセクションで詳しく見ていきましょう。

紫外線

太陽から降り注ぐ紫外線は、肌に日焼けを引き起こすだけでなく、目の健康にも大きな影響を与えます。特にUVAとUVBと呼ばれる種類の紫外線は、目の水晶体に吸収され、細胞にダメージを与える「活性酸素」を発生させます。この活性酸素が過剰に発生すると、体の抗酸化作用が追いつかなくなり、「酸化ストレス」という状態に陥ります。

酸化ストレスは、水晶体の主要な成分であるタンパク質を変性させ、白く濁らせる原因となります。長年にわたって紫外線を浴び続けることで、このダメージが蓄積され、結果として白内障の発症リスクが高まることが多くの研究で指摘されています。特に、屋外での活動が多い方、あるいは雪山や海のように紫外線の反射が強い環境に長時間いる方は、より注意が必要です。

喫煙

喫煙は、白内障のリスクを著しく高めることが科学的に証明されています。タバコの煙には、ニコチンやタールをはじめとする数千種類の有害物質が含まれており、これらが体内に吸収されると、血流に乗って水晶体にも運ばれてきます。これらの有害物質は強力な酸化作用を持ち、水晶体に直接的な酸化ストレスを与えます。

さらに、喫煙は体内の抗酸化物質(ビタミンCなど)を消費してしまうため、水晶体を酸化ダメージから守る力が弱まってしまいます。複数の大規模な疫学研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて白内障の発症リスクが2倍から3倍も高いことが報告されています。目の健康を守るためにも、禁煙は非常に重要な予防策と言えるでしょう。

食生活の乱れ

日々の食生活も、白内障の発症や進行に深く関わっています。体内の酸化ストレスを軽減するためには、「抗酸化物質」を豊富に含む食事を積極的に摂ることが非常に重要です。ビタミンC、ビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチンといった栄養素は、強力な抗酸化作用を持ち、水晶体を酸化ダメージから守る働きをします。

例えば、ビタミンCはパプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツなどに、ビタミンEはナッツ類や植物油に、ルテインやゼアキサンチンはほうれん草やケールといった緑黄色野菜に多く含まれています。これらの栄養素が不足する偏った食生活は、水晶体が酸化ストレスを受けやすくなり、白内障のリスクを高める可能性があります。また、高血糖を招くような食事も、糖尿病性白内障のリスクを高めることにつながるため、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。

原因3:病気や合併症によるもの(併発白内障)

白内障は加齢によって引き起こされることがほとんどですが、中には他の病気が原因となって発症するケースもあります。これを「併発白内障」と呼びます。併発白内障は、加齢性白内障とは異なり、特定の疾患の症状として、あるいはその疾患の治療過程で現れるものです。ここでは、代表的な原因疾患として糖尿病、アトピー性皮膚炎、ぶどう膜炎といった目の病気を挙げ、これらがどのように白内障を引き起こすのかを詳しく解説していきます。

糖尿病

糖尿病は、全身のさまざまな合併症を引き起こすことで知られていますが、白内障もその一つです。血糖値が高い状態が長く続くと、水晶体内の糖代謝に異常が生じます。具体的には、血液中のブドウ糖が水晶体内で「ソルビトール」という物質に変換され、これが水晶体内に蓄積されていきます。ソルビトールが蓄積すると、水晶体内に水分を引き込み、浸透圧が変化することで水晶体が膨張し、混濁を引き起こすのです。

糖尿病性白内障は、加齢性白内障と比較して若い年齢で発症しやすい傾向があり、進行も比較的早い場合があるのが特徴です。そのため、糖尿病と診断された方は、眼科での定期的な目の検査が非常に重要になります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の患者さんの場合、特に顔面の症状が重い方や若年層で「アトピー性白内障」と呼ばれるタイプの白内障が発症することがあります。この白内障の原因については複数の説が考えられています。一つは、目の周りの皮膚炎による強いかゆみで、目を頻繁に強くこすったり叩いたりする物理的な刺激が、水晶体に直接ダメージを与えるというものです。

また、アトピー性皮膚炎自体が持つ免疫異常が水晶体に影響を与える可能性や、アトピーの治療に用いられるステロイド薬の長期使用が白内障を誘発する可能性(ステロイド白内障については後述します)も指摘されています。このように、アトピー性皮膚炎に伴う白内障は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

ぶどう膜炎などの目の病気

目の中にあるぶどう膜という組織に炎症が起きる「ぶどう膜炎」も、白内障の原因となることがあります。ぶどう膜炎によって目に炎症が起こると、炎症性物質が放出され、これが水晶体に悪影響を及ぼしたり、水晶体の栄養代謝を阻害したりすることで混濁が生じることがあります。

さらに、ぶどう膜炎の治療のために長期的にステロイド薬を使用する場合、そのステロイド薬の副作用として白内障が誘発される可能性もあります。この場合、「ステロイド白内障」という別の種類の白内障として扱われることもあります。このように、目の病気そのものと、その治療の両方が白内障の原因となりうることを理解しておく必要があります。

原因4:薬の副作用や目の外傷

白内障は加齢によって引き起こされることが多いですが、病気の治療のために服用する特定の薬剤の副作用や、目に直接的な衝撃が加わることによっても発症することがあります。これらの白内障は、一般的な加齢性白内障とは異なる原因で水晶体が濁るものです。ここでは、白内障を引き起こす薬の副作用として代表的な「ステロイド薬の長期使用」と、物理的な衝撃が原因となる「目の怪我」について、それぞれがどのように水晶体に影響を及ぼすのかを詳しく見ていきましょう。

ステロイド薬の長期使用(ステロイド白内障)

ステロイド薬は、アトピー性皮膚炎や喘息、関節リウマチなど、さまざまな病気の治療に使われる非常に有効な薬ですが、長期間にわたって使用すると白内障を引き起こす副作用があることが知られています。これを「ステロイド白内障」と呼びます。ステロイド白内障は、内服薬だけでなく、点眼薬や注射剤として使用した場合にも起こる可能性があります。ステロイドが水晶体のタンパク質の代謝に影響を与えることで、水晶体が徐々に濁っていくと考えられています。

ステロイド白内障の特徴として、水晶体の特に後ろ側の中央部分(後嚢下)から濁りが始まる傾向がある点が挙げられます。このタイプの白内障は、比較的若年層でも発症することがあり、病気自体のアトピー性皮膚炎などと複合的に作用して白内障を引き起こすこともあります。ステロイド治療を受けている方は、定期的に眼科で目の状態をチェックしてもらうことが大切です。

目に強い衝撃や外傷が加わることによって白内障が発症することがあり、これを「外傷性白内障」と呼びます。例えば、ボールが目に当たったり、転倒して目を打ったり、交通事故で目にダメージを受けたりした場合などがこれに該当します。物理的な衝撃によって、水晶体を包んでいる袋(嚢)が傷ついたり、水晶体そのものが損傷を受けたりすることで、内部のタンパク質が変性し、混濁が生じます。

外傷性白内障は、怪我の直後に症状が現れることもありますが、数ヶ月から数年経ってから徐々に進行して白内障が明らかになるケースもあります。そのため、過去に目に強い衝撃を受けた経験がある方は、たとえ自覚症状がなくても、眼科医に相談して目の状態を確認してもらうことが重要です。放置すると視力低下が進むだけでなく、他の合併症を引き起こす可能性もあります。

原因5:その他の要因

これまで解説してきた加齢、生活習慣、病気、薬の副作用、目の外傷といった要因のほかにも、白内障を引き起こす特定のケースが存在します。ここでは、生まれつき水晶体が濁っている「先天性白内障」や、近視が非常に強い方に比較的多く見られる白内障、といった特殊なケースについて詳しくご説明します。

生まれつき(先天性白内障)

先天性白内障とは、その名の通り、生まれつき水晶体に濁りがある状態を指します。この原因としては、遺伝的な要因が考えられるケースや、母親が妊娠中に風疹などのウイルス感染症にかかったことが影響するケース(胎内感染)などが挙げられます。

生まれたばかりの赤ちゃんに見つかることもあり、放置すると視力の発達が阻害され、弱視につながる可能性があるため、早期発見と早期の治療が非常に重要です。濁りの程度が軽い場合には、すぐに手術せず、定期的な検査で経過を観察することもあります。

強度近視

強度近視の方は、そうでない方に比べて、比較的若いうちから白内障を発症しやすい傾向があります。強度近視の目は、眼球が前後に長く伸びている(眼軸長が長い)という特殊な形状をしています。

この目の構造が、水晶体を支える組織に負担をかけたり、眼内の血流や代謝に影響を与えたりすることで、白内障の早期発症につながると考えられています。特に、水晶体の中央部分が硬くなるタイプの「核白内障」が起こりやすい傾向があることも分かっています。

若くても発症する「若年性白内障」とは

白内障と年齢について

「若年性白内障」は、一般的に40歳未満で発症する白内障の総称です。加齢が主な原因とされる一般的な白内障とは異なり、若い世代でも発症する可能性のある白内障を指します。

若年性白内障の原因は多岐にわたります。これまでに解説してきた「アトピー性皮膚炎」に伴うもの、糖尿病が原因となるもの、特定の病気の治療で「ステロイド薬」を長期使用した際の副作用、目に強い衝撃が加わったことによる「外傷」、そして「強度近視」との関連などが挙げられます。これらの要因が単独、あるいは複合的に関わることで、若年層でも水晶体が濁ってしまうことがあります。

中には、これらの明らかな原因が見当たらないケースもあります。しかし、「若いから白内障にはならないだろう」と自己判断して症状を放置すると、視力低下が進み、日常生活に支障をきたす可能性もあります。もし、視界のかすみやぼやけ、まぶしさなど、目に気になる症状が現れた場合は、年齢に関わらず早めに眼科を受診し、専門医の診断を受けることが大切です。

これって白内障?気になる症状セルフチェック

「なんだか最近、ものが見えにくい」「光がまぶしいのは年のせいかしら」と感じていませんか?そうした見え方の変化は、もしかしたら白内障の初期症状かもしれません。多くの場合、ゆっくりと進行するため、ご自身では気づきにくいこともあります。しかし、日常生活に支障を感じ始めたら、それは白内障のサインである可能性があります。このセクションでは、白内障でよく見られる代表的な症状をいくつかご紹介します。ご自身の見え方と照らし合わせながら、気になる症状がないか確認してみてください。

視界がかすむ・ぼやける

白内障の症状として最も多くの方が感じるのが、「視界のかすみ」や「ぼやけ」です。まるで「すりガラス越しにものを見ているよう」「霧がかかったように景色が白っぽく見える」といった表現がよく用いられます。水晶体が濁ることで、目に入った光が均一に網膜に届かず、乱反射してしまうために起こる症状です。病状の進行とともに、かすみは次第に濃くなり、視界全体が白っぽく濁って見えたり、輪郭がはっきりしなくなったりします。

光がまぶしく感じる

白内障が進行すると、光を異常にまぶしく感じる「羞明(しゅうめい)」という症状が現れることがあります。水晶体の濁りが光を散乱させるため、太陽の光や夜間の車のヘッドライト、街灯の光などが非常にまぶしく感じられ、視界が白くぼやけてしまいます。さらに、光の周りに虹色の輪が見えたり(ハロー)、光がギラギラと広がるように見えたりする(グレア)といった現象も起こりやすくなります。これにより、特に屋外での活動や夜間の運転が困難になるなど、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

視力が低下する

白内障が進行すると、徐々に視力が低下していきます。この視力低下の特徴は、眼鏡やコンタクトレンズの度数を合わせ直しても、以前のように視力が回復しない点です。また、白内障の種類によっては、一時的に近視が進むことがあります。これまで老眼鏡を使っていた方が「近くのものが以前よりよく見えるようになった」と感じることがありますが、これは「セカンドサイト」と呼ばれる現象です。しかし、これは視力が改善したわけではなく、白内障が進行しているサインの一つですので注意が必要です。

ものが二重、三重に見える

白内障の症状の一つに、片方の目で見たときに、ものが二重や三重にずれて見える「単眼複視」があります。これは、濁った水晶体の内部で光が均一に屈折せず、網膜上に複数の像を結んでしまうために起こる現象です。両目で見たときに起こる斜視などが原因の複視とは異なり、片目を閉じて見てもものが重なって見えるのが特徴です。この症状は、水晶体の濁りの位置や程度が不均一な場合に現れやすく、特に初期の白内障で見られることがあります。

白内障の原因に対処する|自分でできる予防と進行を遅らせる方法

白内障の予防策

白内障は、加齢が主な原因となる目の病気ですが、その進行を早める要因は日常生活の中に潜んでいます。ご自身の生活習慣を見直すことで、白内障の発症を遅らせたり、すでに発症している場合の進行を緩やかにしたりすることが期待できます。特に重要なのが、水晶体の濁りの原因となる「酸化ストレス」をいかに軽減するかという点です。ここでは、日々の生活で実践できる「紫外線対策」「食生活の改善」「生活習慣の見直し」という3つの柱に焦点を当てて、具体的な予防法と対策を詳しく見ていきましょう。

【紫外線対策】サングラスや帽子を活用する

白内障の大きなリスク要因の一つである紫外線から目を守ることは、非常に重要です。外出時には、UVカット機能のあるサングラスや眼鏡、つばの広い帽子、日傘などを積極的に活用しましょう。特にサングラスを選ぶ際には、レンズの色の濃さだけで判断しないように注意が必要です。

色の濃いレンズは瞳孔を開かせ、かえって多くの紫外線を目に取り込んでしまうリスクがあります。そのため、必ず「紫外線カット率」や「紫外線透過率」の表示を確認し、UVカット機能がきちんと備わっているものを選びましょう。数値が高いほど紫外線をカットする効果も高まりますので、これらの表示をチェックすることが目を守る上で大切です。

【食生活の改善】抗酸化作用のある栄養素を摂る

水晶体を酸化ストレスから守るためには、食生活の見直しも欠かせません。抗酸化作用を持つ栄養素を積極的に摂取することで、白内障の進行を遅らせることが期待できます。特に意識して摂りたいのは、ビタミンC、ビタミンE、そしてルテインといった栄養素です。

ビタミンCはパプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツなどに豊富に含まれ、ビタミンEはナッツ類や植物油に多く含まれています。また、ルテインはほうれん草やケールなどの緑黄色野菜に多く、目の黄斑部に存在し、光の刺激から目を保護する働きがあります。これらの栄養素を日々の食事にバランス良く取り入れ、偏りのない食生活を心がけることが、白内障予防への一歩となります。

【生活習慣の見直し】禁煙・節酒を心がける

喫煙は、白内障のリスクを大幅に高めることが複数の研究で示されています。タバコの煙に含まれる有害物質が体内の抗酸化物質を破壊し、水晶体に酸化ストレスを増大させるためです。禁煙は、白内障だけでなく全身の健康にとっても非常に有効な予防策となります。

また、過度な飲酒も体への負担となり、結果的に白内障のリスクを高める可能性があります。アルコールは適量を守り、休肝日を設けるなど、節度ある飲酒を心がけましょう。これらの生活習慣の見直しは、白内障の進行を遅らせるだけでなく、より健康的な毎日を送るためにも大切なことです。

白内障の治療法|点眼薬と手術

白内障と診断された場合、現在の医療で提供される主な治療法は、大きく分けて2つの段階があります。一つは、初期の白内障の進行を抑えるための「点眼薬による進行予防」です。もう一つは、低下した視力を根本的に回復させるための「手術」です。点眼薬はあくまで進行を遅らせることを目的としており、一度濁ってしまった水晶体を元の状態に戻す効果はありません。視機能の改善を目指す場合は、手術が唯一の選択肢となります。

これらの治療法は、白内障の進行度合いや患者さんの日常生活での困り具合に応じて選択されます。初期段階で自覚症状が軽微であれば点眼薬から始めることが多く、視力低下により日常生活に支障が出始めた段階で手術が検討されます。各治療法がどのような目的で、どのような効果が期待できるのかを詳しく見ていきましょう。

点眼薬による進行予防

白内障の治療において、点眼薬は主に病気の進行を遅らせることを目的として使用されます。特に、白内障の初期段階で自覚症状がまだ軽度な場合や、手術をすぐに受けられない事情がある場合に処方されることがあります。

現在使用されている代表的な点眼薬には、ピレノキシン製剤やグルタチオン製剤があります。これらは、水晶体のタンパク質が変性して濁るプロセスを抑制したり、水晶体の代謝を改善したりすることで、白内障の進行を遅らせる効果が期待されています。しかし、重要な点として、これらの点眼薬は一度濁ってしまった水晶体を透明に戻したり、低下した視力を回復させたりする効果はありません。

あくまで病気の進行を緩やかにするためのものであり、白内障が進行して視力低下が日常生活に影響を及ぼすようになった場合には、根本的な治療として手術を検討する必要があります。

根本的な治療は手術が必要

白内障によって一度濁ってしまった水晶体は、薬やメガネでは透明に戻すことはできません。低下した視力を回復させ、クリアな視界を取り戻すための唯一の根本的な治療法が「手術」です。白内障の手術は、濁った水晶体を取り除き、その代わりに透明な人工の「眼内レンズ」を挿入することで、再び光が網膜に届くようにします。

手術を検討するタイミングは、患者さんご自身の日常生活での不便さの度合いが大きな目安となります。例えば、「車の運転がしづらくなった」「新聞や本を読むのが辛い」「趣味の細かい作業ができない」など、視力低下が生活の質(QOL)に影響を与え始めたと感じた時に、眼科医と相談して手術の時期を決めるのが一般的です。

手術によって視界が改善されれば、これまで諦めていたことや不便に感じていたことが解消され、生活の質を大きく向上させることができます。手術と聞くと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、現代の白内障手術は非常に安全性が高く、多くの施設で実績のある治療法です。

日帰りも可能な白内障手術

現代の白内障手術は、医療技術の進歩により、患者さんの身体への負担が非常に少ない安全なものとなっています。現在主流となっているのは、「超音波水晶体乳化吸引術」という手術方法です。この手術では、まず角膜にごく小さな切開創を作り、そこから細い器具を挿入します。

そして、超音波の振動によって濁った水晶体を細かく砕き、吸引して取り除きます。この一連の手技は10分から15分程度と短時間で完了し、多くの場合、入院の必要がなく日帰りで受けることが可能です。術後の回復も比較的早く、手術に対する不安を抱えている方も安心して治療に臨めるようになっています。もちろん、患者さんの全身状態や目の状況によっては入院が必要となるケースもありますので、詳細は医師とよく相談することが大切です。

生活スタイルに合わせて選ぶ「眼内レンズ」

白内障手術の際に挿入する人工の「眼内レンズ」には、さまざまな種類があり、患者さんのライフスタイルや「術後にどのような見え方を希望するか」に合わせて選択することができます。主に大きく分けて「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。

単焦点眼内レンズは、遠くか近くのどちらか一方にピントが合うように設計されています。例えば、車の運転がメインの方であれば遠方にピントを合わせることで、遠くがクリアに見えるようになりますが、手元の作業や読書には老眼鏡が必要になることがあります。一方、読書や手芸など手元での作業が多い方であれば近方にピントを合わせることも可能です。

多焦点眼内レンズは、遠方から近方まで、ある程度の範囲でピントが合うように設計されており、眼鏡への依存度を減らしたい方や、アクティブな生活を送りたい方に適しています。ただし、単焦点レンズに比べて見え方の質が若干劣る場合や、ハロー・グレア(光の輪やにじみ)を感じやすいといった特徴もあります。眼内レンズの選択は、医師とよく相談し、ご自身の生活習慣や希望を伝えた上で、最適なものを選ぶことが非常に重要です。

「見え方がおかしい」と感じたら早めに眼科へ相談を

視界のかすみや、以前よりも光をまぶしく感じるなど、目の見え方に変化があったら、それは白内障のサインかもしれません。年齢のせいだと自己判断して放置せず、できるだけ早く眼科専門医に相談することが、ご自身の目の健康を守る上で非常に重要です。

目の不調は、日常生活の質を大きく低下させてしまうことがあります。特に白内障は、進行すると車の運転や読書、趣味など、これまで当たり前にできていたことが困難になる可能性もあります。早期に専門家の診断を仰ぎ、適切な対処を始めることが、快適な毎日を維持するための第一歩と言えるでしょう。

受診のタイミングと検査内容

眼科を受診するタイミングは、目の見え方に変化を感じ、日常生活で不便さを感じ始めたときが目安です。例えば、「テレビの字幕が読みにくくなった」「料理中に手元がぼやけて危ない」「夜間の車の運転が不安になった」といった自覚症状があれば、迷わず受診しましょう。

眼科では、まず視力検査を行い、矯正視力がどの程度出ているかを確認します。白内障の診断には、主に「細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査」という検査が行われます。これは、細い光を目に当てて、目の内部、特に水晶体の状態を詳しく観察する検査です。痛みはほとんどなく、短時間で終了します。この検査で、水晶体の濁りの有無やその程度、白内障の種類などを正確に診断することが可能です。簡単な検査で白内障の有無が判明しますので、受診へのハードルは決して高くありません。

放置するリスク|緑内障や失明につながる可能性も

白内障はゆっくりと進行する病気であるため、「まだ大丈夫」と放置してしまう方も少なくありません。しかし、白内障を治療せずに放置すると、視力低下がさらに進み、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、他の重篤な目の病気を引き起こすリスクもあります。

白内障が進行して水晶体が硬く、厚くなると、目の内部の構造を圧迫し、眼圧が上昇することがあります。これにより、急性の緑内障発作を引き起こす危険性があるのです。緑内障は、一度視野が欠けてしまうと元に戻らない病気であり、最悪の場合、失明に至る可能性もあります。また、進行した白内障は手術がより難しくなる傾向があり、患者さんへの負担が増える可能性もあります。目の健康を守るためにも、気になる症状があれば軽視せずに早期に専門医の診断を受けましょう。

まとめ:白内障の原因は様々、気になる症状があれば専門医に相談しよう

白内障は、水晶体が濁ることで視界がかすんだり、ぼやけたりする病気です。その最大の原因は「加齢」であり、80歳以上になるとほとんどの方が発症すると言われています。しかし、紫外線への長時間曝露、喫煙、不規則な食生活といった「生活習慣」のほか、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの「病気や合併症」、ステロイド薬の長期使用、目の外傷といった「薬の副作用や目の外傷」、さらには生まれつきの「先天性」や「強度近視」など、様々な要因が複雑に絡み合って発症・進行します。

これらの原因の全てを避けることは難しいかもしれませんが、日常の過ごし方を見直すことで、白内障の発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることは可能です。例えば、外出時にはUVカット機能のあるサングラスや帽子で紫外線対策を徹底したり、抗酸化作用のある栄養素を積極的に摂るバランスの取れた食事を心がけたり、禁煙・節酒を実践したりすることが予防につながります。

もし「視界がかすむ」「光がまぶしい」「ものが二重に見える」といった気になる症状に気づいた場合は、「歳のせい」と自己判断せずに、できるだけ早く眼科専門医に相談することが大切です。白内障の診断は簡単な検査で可能ですし、初期であれば点眼薬で進行を遅らせることもできます。また、日常生活に支障が出るほど進行した場合には、濁った水晶体を取り除き人工の眼内レンズに置き換える手術によって、クリアな視界を取り戻すことができます。現代の白内障手術は安全性が高く、多くの場合日帰りで受けることが可能です。

目の健康を守り、自分らしい生活を長く続けるためには、どんな小さな変化でも見逃さずに専門家へ相談することが最も重要です。適切な時期に適切な治療を受けることで、白内障は十分に管理できる病気です。

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